北米

ニューヨーク出店:日本から誰をいつ送るか

日本の外食企業がニューヨークに出店するときの人の計画。出店形態で決まる送れる人、役割ごとのE-2とL-1の使い分け、日米社会保障協定の6か月ルールと税、現地採用との組み合わせ、開業日からの逆算スケジュールを整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

ニューヨーク出店で日本から送るのは、通常、料理長・寿司カウンターの職人・店長の2〜3人です。日本側が米国法人の50%以上を持つならE-2、グループで1年以上働いた社員ならL-1も使えます。新規採用者はE-2で送り、日米社会保障協定の免除を受けるため、渡米の6か月以上前に日本で入社させます。開業の12か月前に人選、物件契約の後にビザ申請、2〜3か月前に渡米という順番です。

このページは、日本の外食企業がニューヨークに出店する場合の人の計画(誰を送るか、E-2とL-1の使い分け、社会保険と税、現地採用との組み合わせ、逆算スケジュール)を扱います。すでに現地で営業している店の採用実務(給与相場、求人広告、賃金ルール、候補者の探し方)はニューヨークの寿司職人の給料と採用ルールにまとめています。E-2の申請書類はE-2ビザで和食店の料理人を呼ぶ、各ビザの比較は米国の飲食店向けビザの比較をご覧ください。

目次

  1. 出店の形で「送れる人」が決まる
  2. フランチャイズで出る場合に本部が決められること
  3. 誰を送るか:役割ごとの判断
  4. E-2とL-1の使い分け
  5. 社会保険と税
  6. 現地採用との組み合わせ
  7. 開業日からの逆算スケジュール
  8. 1人送るときの政府手数料
  9. よくある質問

1. 出店の形で「送れる人」が決まる

米国に料理人専用の就労ビザはありません。日本の外食企業が使う主な経路はE-2(条約投資家)とL-1(企業内転勤)で、どちらも会社の資本関係が前提です。法人の形を決めた時点で、送れる人がほぼ決まります。

出店の形E-2L-1人の計画への影響
日本本社の100%子会社使える使える選択肢が最も広い
現地パートナーとの合弁(日本側50%以上)使える使える(資本関係があれば)持分が50%を割るとE-2が使えなくなる。増資の条件に注意
合弁(日本側50%未満)使えない親子・関連会社の関係があれば使える送れるのはグループ在籍1年以上の社員だけ
フランチャイズ加盟店側の資本で判断本部と資本関係がなければ使えない本部から人は送れない前提で設計する

E-2は日米通商航海条約(1953年10月30日発効)にもとづき、米国の事業の50%以上を日本の国民が所有している場合に使えます。従業員も同じ国籍(日本国籍)で、管理・監督の立場にあるか、事業に不可欠な専門技能を持つことが条件です。資本政策を決める会議に、人の計画を必ず持ち込んでください。

2. フランチャイズで出る場合に本部が決められること

フランチャイズは、採用と労務を加盟店に渡す出方です。ビザも加盟店の会社で判断されるため、本部が料理長を送り込むことは基本的にできません。本部が品質を守る手段は、契約とトレーニングです。

3. 誰を送るか:役割ごとの判断

役割日本から送るか主なビザ判断のポイント
料理長送るE-2(管理・監督)またはL-1A厨房全体を管理し、人の採用に関わる立場として説明する
寿司カウンターの職人(1〜2人)送ることが多いE-2(不可欠な専門技能)またはL-1BL-1Bは一般的な寿司の技術ではなく、自社固有の手法やレシピの知識を示す必要がある
店長現地採用も有力E-2(管理・監督)またはL-1A英語での労務・行政対応が中心なら現地採用が向く
開業支援の短期出張要注意ESTAや商用(B-1)では厨房で働けないB-1で認められるのは打合せや契約交渉などで、就労は対象外。調理に入る人は就労ビザが必要
スーシェフ、ライン、仕込み、洗い場、ホール現地採用本人の就労資格(Form I-9で確認)E-2で雇えるのは日本国籍者だけ。それ以外は就労資格を持つ現地の人から採る

4. E-2とL-1の使い分け

条件E-2L-1
資本日本の国民が50%以上所有日本の会社と親子・支店・関連会社の関係
本人の国籍日本国籍が必要問わない
本人の社歴問わない(新規採用者も可)申請前3年のうち継続1年以上、グループでフルタイム勤務
物件投資が実行済みであること新規事業所の場合は物件の確保が申請の前提
期間日本国籍者のビザは最長60か月。1回の入国で最長2年、米国内で延長可新規事業所は初回1年。L-1Aは通算7年、L-1Bは通算5年まで
申請先在日米国大使館・領事館(企業登録と個人を同時に審査)米国移民局への申請(Form I-129)の後、査証申請

使い分けの結論は3つです。新たに採用した職人はE-2で送る。日本の店で1年以上働いた料理長はどちらでもよいが、合弁で持分が50%を割る可能性があるならL-1にしておく。L-1の新規事業所は、物件契約がないと申請できないため、日程上はE-2より後ろにずれます。

5. 社会保険と税

詳しくは社会保障協定と料理人と海外勤務者の税金をご覧ください。

6. 現地採用との組み合わせ

基本形は「日本から送る2〜3人の核」と「現地採用のチーム」です。ニューヨークで人の計画に効いてくる現地ルールは次のとおりです。

現地採用の相場、求人文例、候補者の集まる地区はニューヨークの寿司職人の給料と採用ルールで詳しく扱っています。出向と現地採用の比較は海外赴任と現地採用の違いをご覧ください。

7. 開業日からの逆算スケジュール

ビザの審査期間は時期と案件で変わるため、ここでは月数ではなく順番を示します。月数は目安で、実際の期間は米国の移民弁護士に確認してください。

開業の何か月前人の手配会社・物件
18か月前L-1で送りたい社員が「継続1年」を満たす日を確認。満たさない人はE-2に回す出店形態と出資比率を決める(E-2は日本側50%以上)
12か月前日本で新規採用して送る人はここまでに入社・社会保険加入(6か月ルールに余裕を持たせる)米国法人の設立、移民弁護士の選任
9〜8か月前送る人を確定(料理長、カウンター、店長)物件と内装の契約。E-2の投資実行、L-1新規事業所の前提がそろう
7〜6か月前E-2の書類提出、またはL-1の申請。適用証明書を申請事業計画と資金の証拠をまとめる
4〜3か月前査証の面接・発給。年末調整と在留届の準備内装工事、許認可の申請
3〜2か月前料理長・店長が渡米。住居、社会保障番号の申請、Food Protection講座と試験現地採用の求人を開始(給与レンジを記載)
1か月前現地スタッフの研修と有給のトライアルプレオープン
開業後12か月L-1新規事業所なら延長申請で営業の実態を示す初年度の人員と給与の見直し

今週やること:送る候補者の入社日とグループでの勤続を一覧にし、「継続1年」と「6か月」を満たす日付を書き出す。出資比率の案と照らし、E-2とL-1のどちらで送るかを仮決めする。

赴任を打診するときの文面の例です。

【件名】ニューヨーク店立ち上げへの赴任のご相談
○○さん
[年月]開業予定のニューヨーク店に、[料理長/寿司カウンター責任者]として赴任していただけないか、ご相談させてください。期間は開業の[2]か月前から原則[3]年の予定です。ビザは[E-2/L-1]で会社が申請し、費用は会社が負担します。給与は米国法人から現地の基準で支払い、住居、渡航費、医療保険は会社で手配します。日本の年金・健康保険は協定の手続きにより継続します。[日付]までに一度面談の時間をいただけますか。

Subject: Assignment to our New York opening
Dear [name], we would like to ask whether you would move to our New York restaurant, opening in [month, year], as [head chef / sushi counter lead]. The assignment would start [two] months before opening and last about [three] years. The company will apply and pay for your [E-2 / L-1] visa. You will be paid by the US company at US rates, and we will arrange housing, travel and medical insurance. Your Japanese pension and health insurance continue under the social security agreement. Could we meet before [date]?

8. 1人送るときの政府手数料

項目E-2で送るL-1で送る(通常)L-1で送る(従業員25人以下の雇用主)
移民局への申請料(Form I-129)不要(大使館で申請)$1,385$695
Asylum Program Fee不要$600$300
不正防止手数料(L-1初回)不要$500$500
査証申請料(MRV)$315別途(額は未確認)別途(額は未確認)
合計(確認できた分)$315$2,485$1,495

2025年の法律で新設された$250のビザ・インテグリティ・フィーを徴収し始めた在外公館があると2026年5月に報じられていますが、東京の米国大使館で徴収しているかは確認できませんでした。予算には入れておいてください。弁護士費用、渡航費、住居、医療保険は含みません。予算の組み方は海外出店の人件費予算をご覧ください。

期限のある数字:ニューヨークの最低賃金と適用除外の基準額(2027年1月1日から物価連動で改定)、米国移民局の手数料(連邦規則8 CFR 106.2、改定時に更新)、査証申請料、求人に提示された給与(2026年9月27日時点)。いずれも2026年9月27日に再確認しました。

よくある質問

ニューヨークに出店するとき、日本から何人送るべきですか。

多くは料理長、寿司カウンターの責任者、必要なら店長の2〜3人です。E-2で雇えるのは日本国籍者だけなので、残りのスタッフは就労資格を持つ現地の人から採用します。

日本で新しく採用した料理人をすぐニューヨークに送れますか。

L-1はグループで継続1年以上の勤務が必要なので使えず、E-2が現実的です。日米社会保障協定の免除を受けるには渡米前に6か月以上日本の社会保険に加入している必要があるため、入社から渡米まで6か月以上空けてください。

合弁で日本側の持分が50%未満になるとどうなりますか。

E-2が使えなくなります。日本の会社と資本関係があればL-1は残りますが、送れるのはグループで1年以上働いた社員に限られます。

開業支援で日本の店のスタッフを短期間ESTAで行かせてもよいですか。

厨房で調理する実務は就労にあたり、ESTAや商用ビザ(B-1)の対象外です。打合せや視察にとどめ、調理に入る人は就労ビザで送ってください。

出向者の給与は日本の水準のままでよいですか。

米国法人で働く以上、米国の最低賃金と残業のルールが適用されます。年俸制で残業代の対象外にするには、ニューヨーク市内で年$66,300以上が必要です。

本記事は2026年9月27日時点で公的情報源を確認した一般的な情報であり、法務・税務・入管に関する助言ではありません。個別の可否や審査期間は米国の移民弁護士、社会保険は年金事務所、税は税理士にご確認ください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

和食料理人を採用しませんか?

世界中の和食料理人が登録するWashokuJobに、貴店の求人を掲載できます。