英国・欧州

パリ出店:salarié en missionで料理人を送る

パリ出店を計画する日本企業向けに、グループ内異動の滞在許可の条件、日仏社会保障協定が年金だけでなく健康保険もカバーする理由、代表者の報酬基準、現地採用との組み合わせ、開業日からの逆算スケジュールを整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

日本の外食企業は、グループで3か月以上働いている料理人であれば、フランスの「salarié en mission(派遣社員)」という滞在許可でパリに送ることができ、年39,582ユーロ以上を払えば労働許可の別途申請は不要です。日仏社会保障協定の適用証明書を取得すれば、出向者は最長5年、日本の年金と健康保険だけに加入し続けられ、フランスの雇用主負担(総支給のおよそ4分の1〜3分の1)の多くを避けられます。現地の給与水準、2025年の人手不足職種リスト、パリでの採用は当サイトのパリ記事にまとめています。

このページは、日本の外食企業やオーナーがパリに出店する場面を想定し、グループ内異動の滞在許可で誰を送れるか、日仏社会保障協定と税、パリでの現地採用との組み合わせ、開業日からの逆算スケジュールを扱います。現地の候補者層、イル・ド・フランス地域の人手不足職種リスト、HCRの給与表はパリでの料理人採用が扱う内容で、詳しい表はそちらにあり、ここでは出向の判断に必要な数字だけを示します。経路全体の比較と標準ルートの費用表はフランスでの料理人採用をご覧ください。

目次

  1. グループ内異動の滞在許可の対象になるのは誰か
  2. 社会保険:日仏協定は年金だけではない
  3. 現地法人の代表者を送る場合
  4. 送る料理人とパリでの現地採用の組み合わせ
  5. 開業日からの逆算スケジュール
  6. よくある質問

1. グループ内異動の滞在許可の対象になるのは誰か

フランスの滞在許可「タレント(talent)」には、まさにこの場面のための「salarié en mission(派遣社員)」という区分があります。海外で設立された会社の従業員が、同じ会社の事業所や関連会社間の異動としてフランスで働く場合が対象です。Service-Publicによると、雇用主が労働許可を別に申請する必要はありません。

条件内容
勤続異動の時点で、雇用されているグループでの勤続3か月以上
契約フランスで雇用する会社との雇用契約があること
給与年間の総支給額が39,582ユーロ以上(年間SMICのおよそ1.8倍)
期間雇用契約と同じ期間、最長4年

出店計画にとっての意味は2つです。まず、候補は自社の日本の店舗で3か月以上働いている料理人から選ぶこと。社外から採用する人を送りたい場合は、先に日本の会社で雇用し、3か月が経過するのを待ってください。次に、39,582ユーロという基準は形だけクリアすればよい数字ではなく、パリの入門レベルの調理スタッフの給与を大きく上回るため、人件費の本当のコストとして予算に組み込んでください。最長4年の間に現地の副料理長を育てておけば、交代のときに慌てずに済みます。出向と現地採用のどちらを選ぶかの比較は海外赴任と現地採用の違いをご覧ください。

2. 社会保険:日仏協定は年金だけではない

日仏社会保障協定は2007年6月に発効しました。英国、米国、豪州との協定が公的年金だけを調整対象とするのに対し、日本年金機構によると、この協定は公的医療保険と労災保険もあわせて調整の対象です。ここが押さえるべき数字です。適用証明書があれば、年金保険料が免除されるだけでなく、フランスの医療保険料も免除されるため、フランスの雇用主負担(総支給のおよそ4分の1〜3分の1、標準ルートでの目安は当サイトのパリ記事を参照)は、書類をきちんと整えた出向者であれば、軽減ではなくほぼ丸ごと避けられます。

居住者・非居住者の判定は滞在期間と給与の負担者によって決まります。詳しくは海外勤務者の税金をご覧ください。適用証明書の申請という一般的な仕組みは社会保障協定と料理人で一度まとめており、この節では日仏協定に固有の点だけを扱っています。

3. 現地法人の代表者を送る場合

同じタレントの滞在許可には、グループから送る現地法人の法定代表者向けの区分(mandataire social)もあります。従業員または役員としての3か月以上の勤続と、SMICの3倍にあたる年間総支給67,212.60ユーロ以上の報酬が条件です。現地で採用するのではなく日本から代表者を送る場合は、この金額も料理人の給与とあわせて人件費の予算に入れておいてください。

4. 送る料理人とパリでの現地採用の組み合わせ

パリには10,037人の日本人が住んでおり、外務省が統計を取っている都市の中では大陸欧州で最大の日本人コミュニティです。フランス全体の在留邦人の43.5%は永住者で、上記の手続きなしに採用できます。厨房の補助やホールの採用は、異動の手続きを進めるのと並行して現地で進めてください。後回しにする必要はありません。補助的なポジションを現地で採用すれば、日本から送る料理人1人に予算を厚くできます。等級ごとの現地給与(SMICだけでなくHCR労働協約)と、cuisinierがイル・ド・フランス地域の人手不足職種リストに現在載っているかどうかは当サイトのパリ記事にまとめています。日本とフランスの間にはワーキングホリデー制度(PVT、年間1,800人枠)もあり、若手の調理スタッフやホールを1年の期間限定で迎える手段になります。1年を超えて雇い続けたい場合の切り替えの日程は同じパリ記事とフランス記事にまとめており、ここでは繰り返しません。

5. 開業日からの逆算スケジュール

開業の何か月前人の手配会社・物件
9〜8か月前日本の自社店舗から送る料理人を選ぶ。社外から採用する場合は今すぐ日本で雇用し、異動までに3か月の勤続を確保するフランスの法人形態を決める。物件契約:salarié en missionには料理人を雇用する住所のあるフランス法人が必要
7〜6か月前料理人のフランスでの雇用契約を年39,582ユーロ以上で確定。適用証明書を申請フランス法人を設立。代表者を日本から送る場合は報酬基準を確認
5〜4か月前滞在許可の書類一式を準備し、在日フランス大使館・領事館で長期滞在ビザの予約を取る。領事館は処理期間を公表していないため、余裕を持って予定を組み、予約時に最新の待ち時間を確認する補助的な役割の現地採用を開始。イル・ド・フランス地域の人手不足職種リストがcuisinierを引き続きカバーしているか確認
3〜2か月前ビザ発給。航空券と住居を手配内装工事、許認可。PVT・現地採用を開始
渡航後長期滞在ビザ保持者向けのオンライン手続きを行う。今回の確認では現在の手数料や正確な期限を確認できなかったため、ビザ予約の際に最新情報を確認する研修、有給トライアルシフト、プレオープン
4年以内現地の副料理長を育成し、交代を計画的に進める実際の営業状況に合わせて人員構成を見直す

今週やること:候補者の入社日が3か月の勤続要件を満たすかを確認する。39,582ユーロ以上を候補者に約束する前に、経理部門から給与の書面での確約を得る。

赴任を打診するときの文面の例です。

【件名】パリ店立ち上げへの赴任のご相談
○○さん
[年月]開業予定のパリ店に、[料理長]として赴任していただけないか、ご相談させてください。フランスの「salarié en mission」という滞在許可を使うため、当社での3か月以上の勤続が条件です。期間は開業の[ ]か月前から最長4年、給与は年[ ]ユーロ(€39,582以上)を現地法人から支払います。日本の年金・健康保険は日仏社会保障協定の適用証明書により継続し、フランスの社会保険料は原則かかりません。住居と渡航費は会社で手配します。[日付]までに一度面談の時間をいただけますか。

Subject: Assignment to our Paris opening
Dear [name], we would like to ask whether you would move to our Paris restaurant, opening in [month, year], as [head chef]. We would use France's "salarié en mission" permit, which needs at least three months of service with the company, which you already have. The assignment would start [ ] months before opening and last up to four years, paid at €[amount] a year (at least €39,582) by the French company. Your Japanese pension and health insurance continue under the social security agreement's certificate of coverage, so French social contributions should not apply. We will arrange housing and travel. Could we meet before [date]?

期限のある数字:SMIC、およびそれに連動する39,582ユーロと67,212.60ユーロの基準(原則毎年1月改定、2026年6月1日のように物価上昇時は年の途中でも改定)。イル・ド・フランス地域の人手不足職種リスト(省令で設定、直近は2025年5月21日)。いずれも2026年9月27日に確認しました。

よくある質問

自社の日本の店舗の料理人なら誰でもパリ出店に送れますか。

異動の時点でグループでの勤続が3か月以上あり、フランスで年39,582ユーロ以上を払える人に限られます。この役職に新しく採用する人を充てたい場合は、先に日本の会社で雇用し、3か月が経過してから送ってください。

出向者は日本の年金・健康保険に入り続けられますか。

日仏協定の適用証明書があれば、最長5年間入り続けられます。年金だけを対象とする協定と違い、日仏協定は健康保険と労災保険もあわせて調整対象なので、フランスの雇用主負担(総支給のおよそ4分の1〜3分の1)の多くを避けられます。

現地法人の代表者も日本から送れますか。

はい。同じタレントの滞在許可のmandataire social区分を使えます。条件は3か月以上の勤続と、SMICの3倍にあたる年間総支給67,212.60ユーロ以上の報酬です。

ビザの手続きにはどのくらいかかりますか。

在日フランス大使館・領事館の長期滞在ビザの処理期間について、公表された固定の日数は確認できませんでした。全体で数か月を見込み、予約の際に最新の待ち時間を確認してください。想定の日数から逆算するのは避けたほうが安全です。

厨房のほかのポジションも日本から送るべきですか。

いいえ。パリは外務省が統計を取っている都市の中で大陸欧州最大の日本人コミュニティがあり、補助的な役割は現地採用のほうが早く、コストも抑えられます。現地の給与水準と人手不足職種リストは当サイトのパリ記事にまとめています。

本記事は一般的な情報であり、法務・税務・入管に関する助言ではありません。金額と条件は2026年9月時点でService-Publicと日本年金機構の情報を確認したものです。個別の案件はフランスの移民の専門家、適用証明書は日本の年金事務所にご確認ください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。

和食料理人を採用しませんか?

世界中の和食料理人が登録するWashokuJobに、貴店の求人を掲載できます。