英国・欧州

パリ出店の人材確保:グループ内異動とPVT

日本に店を持つ企業なら、グループ内異動の滞在許可(salarié en mission)で料理人をパリに送れる可能性があります。条件、給与の基準、代表者の報酬、PVT、SMICを出店計画に沿って整理しました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. パリの数字
  2. 日本の店がある企業の強み:グループ内異動の滞在許可
  3. 現地法人の代表者
  4. ワーキングホリデー(PVT)
  5. 現地採用と給与の下限
  6. 出店スケジュールへの落とし込み
  7. チェックリスト

パリ出店の人材計画で、日本の外食企業がまず確認したいのは、日本の自社店舗で働いている料理人を、グループ内の異動としてフランスに送れるかどうかです。フランスには、海外の会社に勤める人がグループ内の異動でフランスに来るための滞在許可があり、雇用主はそのための労働許可を別に申請する必要がありません。給与の基準を満たせば、日本に店を持つ企業にとって使いやすい経路になります。

この記事は、日本の外食企業やオーナーがパリに出店する場面を想定しています。フランスでの採用の経路全体は英語記事Hiring a Japanese chef in Franceで比較しています。

1. パリの数字

項目数字出典・時点
パリの在留邦人10,037人外務省、2025年10月1日
フランスの在留邦人36,023人(長期滞在者20,361人、永住者15,662人、前年比−2.8%)外務省、2025年10月1日
フランスの日本食レストラン約3,390店(2023年比−1,290店)農林水産省、2025年
最低賃金(SMIC)時給12.31ユーロ、月1,867.02ユーロ(週35時間、総支給)Service-Public、2026年9月確認

フランスの日本食レストランは2年で1,290店減り、上位10か国の中では中国に次ぐ大きな減少です。競争環境が短期間で大きく変わった市場です。出店する側にとっては、業態と立地の見極めとあわせて、少人数で質の高い店を回せる人材の組み方が問われます。

2. 日本の店がある企業の強み:グループ内異動の滞在許可

フランスの滞在許可「タレント(salarié qualifié)」には、グループ内異動のための「salarié en mission(派遣社員)」という区分があります。Service-Publicによると、主な条件は次のとおりです。

条件内容
雇用海外で設立された会社の従業員で、同じ会社の事業所間、または同じグループの会社間の異動としてフランスで働く
勤続雇用されているグループで3か月以上の勤続
契約フランスで雇用する会社との雇用契約がある
給与年間の総支給額が39,582ユーロ以上
雇用主の手続き労働許可の申請は不要。外国人雇用に伴う税も免除
期間雇用契約と同じ期間、最長4年

出店計画にとっての意味は次のとおりです。

社内の料理人を送るか、現地で採用するかの比較は海外赴任と現地採用の違いで扱います。

3. 現地法人の代表者

同じタレントの滞在許可には、フランスの会社の法定代表者向けの区分(mandataire social)もあります。3か月以上の勤続(従業員または役員として)と、SMICの3倍にあたる年間総支給67,212.60ユーロ以上の報酬が条件です。現地法人の社長を日本から送る場合は、この基準を人件費の予算に入れておいてください。

4. ワーキングホリデー(PVT)

日本とフランスの間にはワーキングホリデー制度(PVT)があり、年間の発給枠は1,800人です(外務省、2026年4月1日時点)。在日フランス大使館によると、申請時に18〜30歳であること、有効期間は1年、対象はフランス本土などの欧州の県に限られることが条件で、滞在中の就労が認められています。

若手の調理スタッフやホールを、1年の期間限定で迎える手段になります。詳しくはワーキングホリデーでの採用をご覧ください。

5. 現地採用と給与の下限

フランスの在留邦人の43.5%は永住者で、パリには10,037人の日本人が住んでいます。ホール責任者や日本語のできるスタッフは、まず現地で探す価値があります。採用するときは、本人の滞在許可で就労できるかを確認してください。

現地採用のスタッフの給与は、SMIC(時給12.31ユーロ、2026年9月確認)を下回ることはできません。SMICは原則として毎年1月1日に改定されますが、2026年5月22日付の省令による引き上げのように、年の途中で改定されることもあります。予算は、確認した時点の金額で組んでください。

6. 出店スケジュールへの落とし込み

段階人材面で決めること
出店決定日本の自社店舗から送る料理人を選ぶ。社外から採用する場合は、日本での雇用を先に始める(3か月の勤続が必要)
法人設立フランスの会社と料理人の雇用契約(年39,582ユーロ以上)を準備。代表者の報酬基準も確認
開業前在日フランス大使館(居住国のフランス領事当局)への長期滞在ビザの申請。PVTの人材と現地スタッフの採用
開業後最長4年のうちに、現地の副料理長を育成

全体の逆算の方法は海外出店の人材計画にまとめています。

7. チェックリスト

本記事は一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。金額と条件は2026年9月時点でService-Publicなどで確認したものです。個別の案件はフランスの専門家にご確認ください。

出典

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