就労ビザ

EUブルーカードは料理人の採用に使えるか

EUブルーカードには学位(国内法が認める場合は大卒相当の5年の経験)と、平均給与の1.0〜1.6倍の給与が必要です。多くの料理人には合いません。使えるケースと代わりのルートを解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. EUブルーカードとは
  2. 2つの要件:資格と給与
  3. 料理人にとっての学位の壁
  4. 3か国の給与基準
  5. 使えるケース
  6. 代わりに使うルート

欧州の飲食店オーナーは、EUブルーカードはEU共通の手軽な就労許可だと聞いて、日本から料理人を呼ぶのに使えないかと考えることがよくあります。率直に言えば、ほとんどの料理人には使えません。ブルーカードは「高度な資格を要する雇用」のための制度で、中心となる2つの要件、つまり高等教育の資格と高い給与は、どちらも一般的な厨房の採用とは相性がよくありません。本記事では、その理由と使えるケース、そして通常はより適したルートを、2026年9月時点の情報で解説します。

1. EUブルーカードとは

ブルーカードは指令(EU)2021/1883で定められ、各加盟国が国内法で実施しています。まず押さえておくべき点は次のとおりです。

2. 2つの要件:資格と給与

資格

申請者には「高度な専門資格」が必要で、指令はこれを高等教育の資格、または「高度な専門技能」と定義しています。高度な専門技能が認められるのは次の2つの場合です。

給与

各加盟国は、自国の平均年間総給与の1.0倍以上1.6倍以下で、給与の下限を定めます(第5条3項)。人手不足と判断した職業や新卒者については、通常の下限の80%以上の、より低い基準を設けることができます。

3. 料理人にとっての学位の壁

日本人料理人の多くは、大学の学位ではなく、修業と長年の厨房経験、場合によっては調理師学校の卒業資格で技術を身につけています。そのため、可能性は2つに限られます。

  1. 料理人が学位を持っている。持っている人もいますが、料理とは関係のない分野であることが多いです。関係のない分野の学位が認められるかは各国の規則次第なので、それを前提に申請を組み立てる前に確認してください。
  2. その国が学位の代わりに5年の経験を認めている。これは指令上は任意の規定で、経験は「高等教育の資格に相当する水準」でなければなりません。たとえばドイツは、ドイツの学位またはそれに相当する外国の学位(ISCEDレベル6以上)を求めており、経験による例外はITスペシャリストに限られます。ハンガリーの移民局は、所定期間の高度な専門的実務経験を認めるとしていますが、それを調理師に当てはめた公式の説明は見つかりませんでした。

経験によるルートがある国でも、飲食店は、寿司カウンターを任せる仕事が大卒レベルに相当する高度な資格を要する雇用であることを示さなければなりません。これは複数店舗を統括する総料理長なら成り立ち得る主張ですが、ライン調理師には当てはまりません。

4. 3か国の給与基準

通常の基準軽減された基準期間
ドイツ年額€50,700(総支給)€45,934.20(人手不足職種、新卒者)2026年
オランダ月額€5,942(総支給)€4,754(新卒者)2026年7月1日〜12月31日
ハンガリー月額HUF 883,671(総支給)HUF 706,937(一部の医療職)移民局が2025年の金額として提示

これらは規則上算入される報酬全体の下限であり、目安ではありません。各市場の一般的な料理人の給与との差は国別の寿司職人の給与を参考にしてください。欧州の多くの都市では、1店舗のヘッドシェフの給与はこの水準を大きく下回ります。

5. 使えるケース

ブルーカードが現実的なのは、次の条件がすべてそろう場合です。

条件が合えば、手間をかける価値はあります。たとえばハンガリーの移民局は、カードの有効期間は最長4年で、1回につき最長4年まで延長できるとしています。

6. 代わりに使うルート

本記事は2026年9月にEU法令と各国移民当局の公式ページで確認した一般的な情報であり、法律・移民に関する助言ではありません。ブルーカードの運用は加盟国ごとに異なり、基準額も定期的に改定されます。料理人が働く国の移民当局で最新の要件を確認してください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。