中東・中南米

サウジで日本人料理人を雇う:ニタカットとQiwa

ニタカットの区分でビザを申請できるかが決まる理由、2025年のスキル分類でシェフと調理人がどう扱われるか、サウジ労働法が雇用主に課す費用を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 市場の状況
  2. ニタカット:採用前に自社の区分を確認する
  3. スキル分類と料理人の職名
  4. Qiwaを通じた労働許可とビザ
  5. 雇用主が負担すべき費用
  6. サウジ化を踏まえた計画
  7. 手順

サウジアラビアで問題になるのは、日本人料理人がビザを取れるかどうかではほとんどありません。自社の事業所がビザを申請できる立場にあるかどうかです。ビザの発給はQiwaプラットフォームを通じて行われ、自社のニタカット(Nitaqat、サウジ化)区分に左右されます。さらに2025年以降は、すべての労働許可にスキル分類が付くようになりました。本記事では、人的資源・社会開発省(HRSD)自身の文書をもとにこの2点を解説し、日本食レストランにとっての意味を整理します。

1. 市場の状況

農林水産省の数字は、店舗リスト、業界団体、日系団体、大使館を通じて把握できた店舗のみを含み、10店単位で丸められています。すべての店舗を数えたものではなく、目安です。採用にとってより役立つのは2つ目の数字です。在留邦人が約700人では、現地で採用できる日本人料理人は事実上おらず、上位のポジションは国外からの採用になります。

2. ニタカット:採用前に自社の区分を確認する

ニタカットは、各事業所のサウジ人従業員の割合を、事業活動と規模に応じた必要比率と比べて評価するサウジ化プログラムです。現行版であるNitaqat Mutawarについて、同省の手続きガイドラインは次のように定めています。

区分が重要なのは、レッドの事業所にできないことがあるからです。ガイドラインによれば、レッドの事業所は外国人の新規就労ビザを申請できず、既存の外国人労働者の労働許可も更新できず、労働者の移籍や職種変更もできません。日本から料理人を呼ぼうとしている飲食店にとって、レッド区分では計画が始まる前に止まってしまいます。

制度は変わり続けています。2026年1月、同省はNitaqat Mutawarの新たな3年間のフェーズを発表し、民間部門の34万件以上の職の自国民化を目指すとしました。同省は、新しい比率は各部門の事業活動、市場の状況、確保できる自国の人材に関する調査に基づくと説明しています。旧比率のもとで余裕のある区分だった場合も、新比率で改めて確認してください。

求人を出す前にQiwaにログインし、自社事業所の現在のニタカット区分と、次の区分までの距離を確認してください。外国人料理人を1人加えるだけで比率は変わります。その採用で区分が下がるなら、先に必要なサウジ人スタッフを採用してください。

3. スキル分類と料理人の職名

同省はスキルレベルによる労働許可の分類を導入し、既存の労働者には2025年7月5日から、新規の労働者には2025年8月3日から適用しています。レベルは3つあり、国際標準職業分類(ISCO)の大分類に対応しています。

レベルISCOの大分類評価方法
高度技能(High-Skilled)1〜3(管理職、専門職、技術者・準専門職)資格、職務経験、賃金に基づくポイント制で、同省が最低基準を設定
技能(Skilled)4〜8(サービス・販売従事者を含む)賃金基準に加え、これらの分類に対する職業認定(Professional Accreditation)の要件
基礎(Basic)9(単純作業従事者)労働者が60歳を超えていないこと

ここで職名が意味を持ち始めます。ISCO-08では、シェフ(chefs)は小分類3434で、大分類3の「芸術・文化・調理の準専門職」に属します。調理人(cooks)は小分類5120で、大分類5の対人サービス従事者に属します。メニューを考案し厨房を統括する料理長は前者に、ラインで調理する調理人は後者に当てはまります。

同省のガイドラインは賃金基準をリヤル建てで公表しておらず、経済活動ごとに設定されるとしています。したがって実務上のアドバイスは次のとおりです。実際の職務に正直に合致する職種を登録し、それがどのレベルになるかをQiwaで確認し、オファーを出す前に、提示予定の給与がそのレベルの基準を満たしているか確かめてください。高いレベルにするために調理人をシェフとして登録するのは虚偽の申告であり、同省の規則では労働許可は申告した職種にひも付けられています。

4. Qiwaを通じた労働許可とビザ

枠組みを定めているのは労働法です。第32条は国外から採用する前に同省の承認を得ることを求め、第33条は職種ごとの労働許可を求めています。同省の要約ははっきりしており、雇用主は労働許可に記載された職種以外で労働者を雇用してはならないとしています。

ビザの発給はQiwaで扱われます。同省のビザ発給サービスのページでは、高い自国民化率を達成し労働規則を遵守している事業所向けの、即時・無料のサービスと説明されています。このページには、それ以外の事業所の所要期間は書かれていないため、自社の場合の見込みをQiwaのサポートに確認してください。

大まかには、ビザが発給されると候補者はサウジアラビアの在外公館でビザ手続きを済ませて渡航し、その後雇用主が居住許可(イカーマ)と労働許可を取得します。詳しい必要書類は変わるため、誰かが昨年使ったチェックリストではなく、申請時点のQiwaの情報に従ってください。

5. 雇用主が負担すべき費用

同省の要約によれば、労働法第40条は、雇用主が次の費用を負担すると明確に定めています。

労働者が自分で帰国費用を負担するのは、就労に適さないと判断された場合か、正当な理由なく自ら辞める場合に限られます。法律がこれらの費用を雇用主に課している以上、料理人の給与から回収しようと考えてはいけません。給与、住居、航空券とあわせて採用予算に計上してください。その他に試算すべき項目は赴任パッケージのガイドにまとめています。

6. サウジ化を踏まえた計画

サウジアラビアの日本食レストランが計画時に押さえておくべき点は3つです。

  1. 人員計画を最優先に。ビザを申請できるかどうかはサウジ人の割合で決まります。ホールと厨房のサウジ人のポジションを、後回しにせず開店計画に組み込んでください。
  2. 料理人の最初の仕事は育成。サウジ人の調理人に基本を教えられる日本人料理長がいれば、区分とメニューの両方を守れます。面接では指導経験について尋ねてください。育成の組み立て方は現地スタッフへの和食トレーニングのガイドで解説しています。
  3. 酒とみりんの問題は早めに決める。どちらも和食の基本調味料です。市場やハラール要件で使えない場合、料理人はそれらを使わずに味を組み立てることに抵抗がない人である必要があり、採用前にそれを確認しておく必要があります。ハラール対応の和食厨房のガイドにある論点は、ここにも当てはまります。

湾岸諸国で出店先を比較している場合は、ドバイカタールのガイドもご覧ください。

7. 手順

  1. 2026年の比率のもとで、自社のニタカット区分と事業活動の分類をQiwaで確認する。
  2. 料理人の労働許可で区分が下がらないよう、サウジ人の採用を計画する。
  3. 実際の職務に合った職種を選び、そのスキルレベルと賃金基準を確認する。
  4. 候補者を探して面接する。実技テストと、現地の調理人の育成に関する質問を含める。
  5. 給与、住居、航空券、どの費用を誰が負担するかを記載したオファーを出す。
  6. Qiwaでビザを申請し、在外公館、入国、イカーマ、労働許可の手続きを済ませる。
  7. 料理人の最初の数か月を、サウジ人チームの育成を中心に計画する。

本記事は2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民手続きに関する助言ではありません。ニタカットの比率、スキルの基準、Qiwaの手続きは変更されます。行動する前に、Qiwaと人的資源・社会開発省で確認してください。

出典

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