英国・欧州

スイスで日本人シェフを雇う:SEMの専門料理人規定

スイスには専門料理人の受け入れ規定があります。40席、フルタイム4人、訓練と経験で計6年、L-GAVカテゴリーIVの給与(2026年はCHF 5,293)が条件です。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 非EU労働者に関する一般ルール
  2. 2026年の受け入れ枠
  3. 専門料理人の規定:店舗側が示すべきこと
  4. 料理人側が示すべきこと
  5. 2026年のL-GAV最低賃金
  6. 許可の種類と期間
  7. 短期派遣とイベント
  8. 手続きの流れ

スイスは、EU・EFTA域外の人の就労許可に上限を設けており、原則として高度な資格を持つ人を想定しています。料理人は明文化された例外で、移民事務局(State Secretariat for Migration、SEM)は、専門料理人を飲食店に受け入れるための詳細な規定を設けています。その規定は厳しく、小規模な日本料理店の多くは満たせないでしょう。本記事では、2026年6月30日に更新されたSEMの指令(Weisungen)に基づいて基準を整理し、申請する価値があるかをすぐに判断できるようにします。

1. 非EU労働者に関する一般ルール

SEMによれば、EU・EFTA域外の国籍者が就労のために受け入れられるのは、管理職、専門家、その他の有資格の専門職である場合に限られ、通常は学位と数年の経験が必要です。さらに雇用主は、スイスやEU・EFTA域内で適任者が見つからなかったことを示す必要があり、給与と労働条件はその地域、職業、業種で一般的な水準に合致していなければなりません。申請先は、雇用主の所在する州(カントン)の労働市場当局と移民当局です。

日本とスイスの間にはワーキングホリデー制度がありません。2026年4月1日時点で、スイスは日本の制度の対象32か国に含まれていません。頼れる若者向けのルートはないということです。

2. 2026年の受け入れ枠

連邦参事会は2025年11月19日、第三国労働者の2026年の受け入れ枠を据え置くことを決めました。

許可2026年の枠
滞在許可(B)4,500
短期滞在許可(L)4,000
第三国枠の合計8,500
英国国籍者向けの別枠3,500(B 2,100、L 1,400)

連邦参事会は、枠が一貫して使い切られていないことも指摘しています。2025年9月までに各州が使用した第三国向けの許可は約52%でした。飲食店にとって、枠が障害になることはまれです。障害になるのは質的な基準のほうです。

3. 専門料理人の規定:店舗側が示すべきこと

SEMの外国人に関する指令(Weisungen AIG)の第4.7.9.1節は、料理人の受け入れ条件を定めています。店舗はそのすべてを満たす必要があります。

基準SEMの要件
店舗の種類明確なコンセプトと高い品質を持つ専門料理店で、主に外国の料理を提供し、その調理と盛り付けにスイスでは習得できない特別な知識が必要であること。高級店(たとえばミシュランの星やGault&Millauの評価を持つ店)も対象になりうる
対象外ファストフードやテイクアウトなど、広く普及した、標準化された、またはフランチャイズ型のコンセプト
テイクアウトとデリバリー総売上の半分未満の場合に限り可
人材募集十分な人材探しの努力を示す必要がある
従業員の規模少なくとも400%分の職(フルタイム4人分)。ホテルスクールの実習生は含めない
席数屋内に少なくとも40席
財務健全な貸借対照表と損益計算書があり、赤字でなく、L-GAVに基づいて全従業員に給与を支払えること
給与その地域と職業で一般的な水準で、原則としてL-GAVのカテゴリーIV以上
新規開業または事業承継収支予測、市場分析、人員計画を含む事業計画
複数店舗申請書に店舗を明記する必要がある。400%を満たすために店舗間でスタッフを移すことは認められない

季節雇用の料理人が認められるのは、主に観光地など、季節営業であることが明らかな店舗に限られます。SEMはまた、客観的な理由なく料理人を入れ替えながら短期許可を繰り返すことについて、各州に非常に慎重に対応するよう求めています。

料理人の受け入れに関する州の決定には、SEMの承認が必要です。特別な職業技能を持つ人の受け入れとして扱われるためです。

30席でスタッフ3人の寿司バーは、料理がどれほど優れていても対象になりません。申請に費用をかける前に、40席、400%の人員、テイクアウトの比率を確認してください。

4. 料理人側が示すべきこと

指令の第4.7.9.1.2節は、資格の基準を次のように定めています。

日本人の候補者で典型的に強いのは、2年制の調理師学校を卒業し、その後日本料理店で4年以上働いてきた人です。独学の料理人の場合は、書類で裏付けられた約8年の職歴が必要です。日本の過去の勤務先からの在職証明は早めに取り寄せてください。集めて翻訳するのに時間がかかります。

5. 2026年のL-GAV最低賃金

飲食業の全国労働協約(L-GAV)は、18歳以上のフルタイム従業員の月額最低賃金を定めています。2026年1月1日(または2026年夏季シーズン)からの金額は次のとおりです。

L-GAVの等級対象月額の最低額
I a職業訓練を受けていない従業員CHF 3,713
I b職業訓練なし、Progressoコース修了CHF 3,943
II連邦修了証を伴う2年間の基礎職業訓練、または同等のものCHF 4,070
III a連邦職業資格(EFZ)を伴う職業訓練、または同等のものCHF 4,528
III bIII aに加え6日間の継続研修CHF 4,635
IV連邦職業試験CHF 5,293

SEMは、専門料理人に原則としてカテゴリーIV、2026年で月CHF 5,293以上を支払うよう求めています。これは表の最上位で、通常は連邦職業試験に合格した従業員向けの水準です。つまり実際には、日本から来る専門料理人には、協約がもっとも資格の高い国内スタッフに定める水準以上を支払う必要があります。始める前に予算に組み込んでおいてください。

6. 許可の種類と期間

指令によれば、初めて受け入れられる料理人には、入国・滞在・就労に関する政令(VZAE)第19条第1項に基づく短期滞在許可が発行され、12か月延長できます。新規開業の店の場合、延長は経営が順調な場合にのみ認められます。

VZAE第20条第1項に基づく滞在許可(B)に移行するには、上記の店舗側の条件をすべて引き続き満たし、料理人がその地域の国語について会話と筆記でA2レベルの知識を示す必要があります。チューリッヒの日本人料理人ならドイツ語、ジュネーブならフランス語です。最初の月から語学レッスンを始めましょう。

7. 短期派遣とイベント

第4.7.9.4節は、専門料理フェア、プロモーション、見本市など、経済的に重要なイベントのために、有資格の専門料理人に短期許可を認めています。これらは原則として枠外です。ただし、同じ資格要件とカテゴリーIVの給与は引き続き適用されます。

日本からゲストシェフを招いて和食フェアを計画しているホテルや飲食店にとっては、これが該当するルートであり、常勤の採用よりはるかに簡単です。

8. 手続きの流れ

  1. 第3節のすべての基準に自店が当てはまるか確認する。1つでも満たさなければ、いったん止めて先にそれを改善する。
  2. スイスとEU・EFTA域内で実際に人材探しを行い、記録を残す。広告、日付、応募者の記録を保管する。
  3. 候補者の修了証、少なくとも6年をカバーする在職証明、語学コースの登録証明またはA2の証明書を集める。書類作成に投資する前に技能を確かめるには、遠隔での実技テストのガイドが役立ちます。
  4. L-GAVのカテゴリーIV以上の給与で、その他の条件も明記した契約書を用意する。雇用契約のチェックリストをご覧ください。
  5. 州の当局に申請する。州は決定をSEMに送り、承認を受けます。
  6. 到着後は、B許可への移行ができるよう語学学習を支援する。

近隣国の同様のルールについては、ドイツ(こちらにも専門料理人の規定があります)とフランスのガイドをご覧ください。欧州と日本の日本人料理人に求人を届けるには、WashokuJobに求人を掲載してください。

本記事は2026年9月に公的情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民に関する助言ではありません。運用は州によって異なります。申請前に州の移民局に確認してください。

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