英国・欧州

ロンドン出店の人材確保:料理長を呼べない前提で

2025年7月以降、英国では海外からの料理人の新規スポンサーが事実上できません。ロンドン出店を、英国で働ける人材とユース・モビリティ・スキームで組み立てる方法を整理しました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. ロンドンの数字
  2. 日本から料理人を呼ぶ道はほぼ閉じている
  3. では誰で店を回すのか
  4. ユース・モビリティ・スキームの使い方
  5. 開業時の日本からの応援
  6. 給与の水準
  7. チェックリスト

ロンドン出店の人材計画は、ほかの主要都市とは前提がまったく違います。2025年7月22日以降、英国では料理人(SOC 5434)を新たに海外からスポンサーして呼ぶ道が事実上閉じています。つまり「日本から料理長を呼んで店を立ち上げる」という、多くの企業が海外出店で使ってきた型が、ロンドンではそのまま使えません。

この記事は、日本の外食企業やオーナーがロンドンに出店する場面を想定し、この前提のもとで人をどう確保するかを整理します。制度変更の詳細は2025年以降の英国での和食の採用を、ロンドンの給与水準は英語記事Hiring a sushi chef in Londonをご覧ください。

1. ロンドンの数字

項目数字出典・時点
大ロンドンの在留邦人30,515人(都市別で7位)外務省、2025年10月1日
英国の在留邦人62,270人(長期滞在者32,315人、永住者29,955人)外務省、2025年10月1日
英国の日本食レストラン約1,820店(2023年比+560店)農林水産省、2025年
全国生活賃金時給12.71ポンド(2026年4月から)英国政府

英国の日本食レストランは2年で560店増えました。店は増えているのに、海外から料理人を新たに呼ぶ道は閉じている。ロンドンでは、限られた人材を多くの店が取り合う状況になっていると考えるべきです。

2. 日本から料理人を呼ぶ道はほぼ閉じている

Skilled Worker:料理人は対象外に

英国政府の職種リストでは、Chefs(SOC 5434)は「中程度の技能(Medium Skilled)」の職種です。2025年7月22日以降、中程度の技能の職種でスポンサーできるのは、移民給与リスト(Immigration Salary List)か一時的不足職種リスト(Temporary Shortage List)に載っている場合、または2025年7月22日より前に最初のスポンサー証明書(CoS)を受けた人の延長などに限られます。5434はどちらのリストにもないため、新しく海外から料理人をスポンサーすることは事実上できません。Cooks(SOC 5435)はもともと対象外です。

企業内異動(Global Business Mobility)も使いにくい

日本本社の社員を英国の拠点に送る制度として、Global Business Mobilityの「Senior or Specialist Worker」や、英国に初めて拠点を作る企業向けの「UK Expansion Worker」があります。ただし、GOV.UKが公表している対象職種の一覧(2024年10月8日更新)には、料理人もレストランの管理職も含まれていません。Senior or Specialist Workerは年収52,500ポンド以上という給与の条件もあります。本社の料理長を企業内異動で送るという計画は、前提にしないほうが安全です。

ロンドン出店では、「日本人の料理長を日本から呼ぶ」ことを計画の前提から外し、英国ですでに働ける人と、ユース・モビリティ・スキームの人材で店を組み立てる必要があります。

3. では誰で店を回すのか

人材の層特徴向いている役割
英国に定住している日本人英国の在留邦人の48.1%(29,955人)が永住者。就労に制限のない人が多いと考えられる料理長、副料理長、店長
ユース・モビリティ・スキームの日本人18〜30歳、最長24か月。雇用主のスポンサー不要若手の調理、ホール
他のビザの家族など本人の在留資格で就労できる場合がある本人の経験しだい
英国で就労できる日本人以外の料理人和食の経験者、または育成が前提調理スタッフ、将来の副料理長

料理長の候補は、英国ですでに働いている和食の料理人が中心になります。その多くは別の店で働いているため、引き抜きの条件(給与、役職、働き方)を具体的に用意してください。採用の選択肢の全体像は英語記事UK hospitality hiring without sponsorshipにまとめています。

同時に、日本人以外の料理人を和食の担い手として育てる計画も欠かせません。現地スタッフへの教え方は現地スタッフに和食を教える方法をご覧ください。

4. ユース・モビリティ・スキームの使い方

日本国籍者向けのユース・モビリティ・スキーム(Youth Mobility Scheme)には次の特徴があります。

日本の若手料理人を英国に呼ぶ最も現実的な道で、日本で採用を決めてから英国の店で経験を積んでもらう、という使い方も考えられます。ただし最長24か月なので、店の核を任せる人材ではなく、入れ替わりを前提にした戦力として計画してください。詳しくは英語記事Youth Mobility Scheme for Japanese restaurant staffをご覧ください。

5. 開業時の日本からの応援

開業前後に、日本の本社から料理長やトレーナーを短期で送る計画もあると思います。英国の訪問者(Visitor)として入国する場合、認められる活動の範囲は限られており、営業中の厨房で働くことは就労に当たるおそれがあります。研修の指導や打ち合わせの範囲にとどめるのか、どこまでできるのかを、事前に英国の移民の専門家に確認してください。

6. 給与の水準

ロンドンで和食の経験がある料理長を他店から迎えるには、全国の中央値を上回る条件が必要になると考えてください。ロンドンの給与の目安はHiring a sushi chef in Londonで詳しく扱っています。

7. チェックリスト

本記事は一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。制度の内容は2026年9月時点で確認したものです。個別の案件は英国の移民の専門家にご確認ください。

出典

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