英国・欧州

ロンドン出店:日本から送れる人はいるか(2026年)

ロンドン出店を計画する日本企業向けに、料理人のスポンサーと企業内転勤がどちらも閉じている理由、まれに当てはまるGlobal Business Mobilityの経路、日英社会保障協定のもとでの社会保険と税、現地採用・YMSとの組み合わせ、開業日からの逆算スケジュールを整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

2025年7月22日以降、ロンドンの新規出店に料理人(SOC 5434)を日本から就労ビザで送ることはできません。スポンサー就労も、企業内転勤(Global Business Mobility)も対象外です。残る道は狭く、厨房の外にある本当に大卒レベルの職種が対象職種リストに載っていて年収52,500ポンド以上を払える場合の異動、営業中に調理をしない研修目的の出張、そして18〜30歳の本人が自分でユース・モビリティ・スキーム(YMS)ビザを取る場合だけです。開業計画は、現地で見つけた料理長と、入れ替わり前提のYMS人材を軸に組んでください。

このページは、日本の外食企業やオーナーがロンドンに出店する場面を想定し、日本から誰を送れるか(送れないか)、唯一残る経路のビザ条件、送る人の社会保険と税、現地採用・YMS人材との組み合わせ、開業日からの逆算スケジュールを扱います。「何ができて何ができないか」の全体表、YMS候補者への説明文、YMS前提の開業スケジュールは日本からの英国出店採用が扱う内容で、ここでは繰り返しません。英国側に残る選択肢、給与水準、現地採用のコストは2025年以降の英国での料理人採用、すでに営業している店のロンドンの給与水準と候補者層は英語記事Hiring a sushi chef in Londonをご覧ください。

目次

  1. 料理人のスポンサーは閉じており、それが計画を決める
  2. 実際に送れるのは誰か:役割ごとの判断
  3. 送る人の社会保険と税
  4. 小規模な派遣と現地採用・YMSの組み合わせ
  5. 開業日からの逆算スケジュール
  6. 唯一残る経路の政府費用
  7. よくある質問

1. 料理人のスポンサーは閉じており、それが計画を決める

2025年7月22日以降、料理人(SOC 5434)が新規にSkilled Workerとしてスポンサーされるのは、最初のスポンサー証明書がその日より前に発行されていた場合に限られます。Cooks(5435)はもともと対象外です。料理人はGlobal Business Mobilityの対象職種にも入っていないため、日本本社が自社の料理長をSenior or Specialist Workerとしてロンドン店に異動させることも、給与や勤続年数にかかわらずできません。これはニューヨークやシドニーの出店とは前提が違います。あちらでは出資構造やスポンサーの経路が「誰を送れるか」を決めますが、ロンドンでは職種そのものが料理人という役割を経路から外しています。何ができて何ができないかの全体表と、日本の候補者に伝えるべきことは日本からの英国出店採用にまとめており、このページはその上に立つ「出店計画」として読んでください。

2. 実際に送れるのは誰か:役割ごとの判断

役割日本から送れるか経路判断のポイント
料理長送れないなしSOC 5434は移民給与リスト・一時的不足職種リストのどちらにも載っていない
寿司カウンター、スーシェフ就労ビザでは送れない。18〜30歳なら本人のYMSビザで来られる可能性はあるユース・モビリティ・スキーム本人が自分で申請するビザ。最長24か月、日本人は2回目の利用不可
開業責任者、財務・オペレーション責任者(厨房を運営する立場ではなく、本当に大卒レベルの職種)まれに、その具体的な職種が対象職種リストに載っている場合のみSenior or Specialist Worker(Global Business Mobility)対象職種リストにあるRQFレベル6の職種であること、年収52,500ポンド以上、海外での12か月以上の勤続(年収73,900ポンド以上なら免除)。飲食・宿泊の管理職はリストにないため、店舗運営ではなく本当の意味での本社機能の職種でなければ当てはまらない
開業前の研修担当送れる(ビジターとして)Standard Visitor(研修目的のみ)同じグループの英国スタッフへの研修・技能共有は認められるが、営業中に客に出す調理は認められない
店長、キッチンポーター、ホール現地採用就労資格の確認新規出店に日本から送るビザの経路がない

実務上の結論は「日本から送る料理人はゼロを前提に計画する」です。唯一の理論上の道は、対象職種リストに載っている本社機能の職種が、基準となる給与を満たし、実質的に厨房を運営する仕事ではない場合だけです。これを前提に人員計画を組むのではなく、早い段階で移民の専門家に「当てはまるか当てはまらないか」を確認したうえで、下の行を中心に計画を立ててください。

3. 送る人の社会保険と税

Senior or Specialist Workerで、あるいは長期の研修出張で人を送る場合、日英社会保障協定(2001年2月発効)が、日本の年金制度に入り続けるか英国の国民保険(National Insurance)に加入するかを決めます。

適用証明書の一般的な仕組み(申請方法や「免除」が実際に何を変えるか)は社会保障協定と料理人で一度まとめており、この節では英国協定に固有の点だけを扱っています。税の全般については海外勤務者の税金をご覧ください。

4. 小規模な派遣と現地採用・YMSの組み合わせ

就労ビザで送れる人がほとんどいない以上、開業チームは次の3つを組み合わせて作ります。日程を自社でコントロールしやすい順に並べると次のとおりです。

それぞれの限界も押さえてください。英国在住の料理長には、テンプレートではなく、今の職を辞めてもらうだけの具体的な条件が必要です。YMSの調理師は2年以内に必ずいなくなり、その後は料理人として再スポンサーできません。出張トレーナーは、料理長の到着が遅れてもシフトの穴を埋められません。下のスケジュールには、この3つのつまずきどころを見込んだ余裕を入れてください。

5. 開業日からの逆算スケジュール

開業の何か月前人の手配会社・物件
12か月前英国在住の料理長探しを開始。本社機能の職種がSenior or Specialist Workerの対象職種リストに本当に当てはまるかを、思い込みで進めず専門家に早めに確認英国の法人形態と、必要ならスポンサーライセンスの取得主体を決める
9〜8か月前日本でYMS候補者向けに日本語で募集を出し、ビザの内容を丁寧に説明。英国料理長の探索を継続物件契約。Senior or Specialist Workerでの異動を進めるならスポンサーライセンスをここで申請
7〜6か月前英国料理長候補・YMS候補者と面接、内定送る人がいれば適用証明書を申請。Senior or Specialist Workerの書類も進める
6〜4か月前YMS候補者は28日間の貯金要件を満たしたうえで申請(結果は通常3週間程度)。英国料理長の退職予告期間を確認内装工事、許認可の申請
3〜2か月前YMSスタッフと英国料理長が到着・着任。シフトに入る前に就労資格の確認を記録厨房・ホールの残りのポジションを現地で募集(給与を明記)
1か月前日本からの研修出張:仕込み、包丁の扱い、盛り付け。営業時間外に限る有給トライアルシフト、プレオープン
開業英国での就労資格を持つスタッフだけで営業する見積もった人件費と実際のシフトを照らし合わせる

今週やること:頼りにしている候補者一人ひとりについて、ビザの経路と上表の各期限をリストにする。Senior or Specialist Workerに当てはまることを期待している本社機能の職種があれば、それを前提に計画を組む前に、英国の移民の専門家の判断を得る。

客に出す調理ではなく研修のために日本から出張してもらう人への案内文の例です。

【件名】ロンドン店開業前の研修出張について
○○さん
[年月]開業予定のロンドン店で、開業前の[ ]週間、現地スタッフへの研修(仕込み、包丁の扱い、盛り付け)をお願いしたく、ご相談します。渡航はビジター(Standard Visitor)としての入国となり、営業時間中の調理は認められていないため、研修は営業時間外に行っていただきます。渡航費と滞在費は会社が負担します。日程の詳細は[日付]までにご相談させてください。

Subject: Training visit ahead of our London opening
Dear [name], we would like to ask you to visit our London site for [ ] weeks before opening, to train local staff in prep, knife work and plating. You would enter the UK as a Standard Visitor, which does not allow cooking during service, so all training would run outside service hours. The company will cover travel and accommodation. Could we confirm the dates by [date]?

6. 唯一残る経路の政府費用

本当に対象となる本社機能の職種がSenior or Specialist Workerで異動できる、まれなケースでは、小規模なスポンサーが1人を3年間送る場合の費用は次のとおりです。

項目金額
スポンサーライセンス(小規模スポンサー、1回のみ)611ポンド
スポンサー証明書(CoS)525ポンド
ビザ申請料(3年以内)819ポンド
技能課徴金(Immigration Skills Charge)小規模スポンサー:最初の12か月480ポンド+以降6か月ごと240ポンド、36か月分1,440ポンド
移民健康付加料(IHS)年1,035ポンド×3年3,105ポンド
合計(政府費用のみ)6,500ポンド

中規模・大規模スポンサーはライセンスが1,682ポンド、技能課徴金の初年度が1,320ポンドになります。この金額に給与、赴任費用、弁護士費用、そして「本当にこの職種が当てはまるか」を確認するための費用は含みません。このページのほかの経路では、雇用主側の政府費用はゼロです。YMSビザの費用は候補者本人の負担(費用の内訳は日本からの英国出店採用の表を参照)で、英国在住の料理長を現地採用する場合はビザの費用自体が発生せず、国民保険と年金の負担だけが2025年以降の英国での料理人採用にまとめられています。

期限のある数字:内務省の手数料、移民給与リストと一時的不足職種リスト、給与基準額(制度改定のたびに変わり、多くは4月)。移民健康付加料と技能課徴金の料率。ONS ASHEの給与データ(毎秋の速報値)。いずれも2026年9月27日に確認しました。

よくある質問

ロンドン開業のために料理長を日本から送れますか。

就労ビザでは送れません。料理人(SOC 5434)は新規にSkilled Workerとしてスポンサーできず、給与や勤続年数にかかわらずGlobal Business Mobilityの対象職種リストにも入っていません。英国で見つけた料理長を軸に、日本からの研修出張を組み合わせて開業計画を立ててください。

開業のために日本から人を異動させる方法はありますか。

店舗運営ではない、本当に大卒レベルの職種がGlobal Business Mobilityの対象職種リストにたまたま載っていて、年収52,500ポンド以上を払える場合に限られます(年収73,900ポンド以上なら12か月の勤続要件も免除)。この前提でチームを組む前に、移民の専門家の判断を得てください。

実際に送る人の税と保険はどう扱いますか。

日英社会保障協定(2001年)は年金だけを対象とし、医療保険は対象外です。適用証明書があれば英国国民保険は最長5年免除され、予見できない事情で延長する場合はさらに最長3年延びます。同行する配偶者本人の保険料についての調整規定はありません。所得税は滞在期間と給与の負担者しだいで、短期の研修出張なら日本でのみ課税されたままにできる場合がありますが、長期の派遣は通常、就労開始日から英国で課税されます。

プレオープンで日本からのトレーナーに厨房に入ってもらえますか。

いいえ。Standard Visitorとして同じグループの英国スタッフを研修することはできますが、客に出す調理はできません。研修は営業時間外に限り、営業自体は英国での就労資格を持つスタッフだけで行ってください。

人を送る場合、実際の費用はどのくらいですか。

まれなSenior or Specialist Workerのケースで、小規模スポンサーが3年間で政府費用だけで約6,500ポンド、これに給与と赴任費用が加わります。このページのほかの経路には雇用主側の政府費用はなく、ユース・モビリティ・スキームの費用は候補者本人が負担します。

本記事は2026年9月27日時点で公的情報源を確認した一般的な情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。英国の入管規則は頻繁に変わります。可否はOISC登録の移民アドバイザー、社会保険は日本の年金事務所、税は税理士にご確認ください。

出典

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