中東・中南米

カタールで日本人料理人を雇う:就労ビザと労働法

日本からカタールへ料理人を呼ぶための労働省と内務省の手続き、QAR 1,000の最低賃金と手当、契約で守るべき労働法の条件、転職の自由化が人材定着に与える影響を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 市場は小さく、現地の人材も少ない
  2. 就労ビザ手続きの流れ
  3. 最低賃金と、その影響を受けるスタッフ
  4. 契約に反映すべき労働法の条件
  5. 転職の自由化と人材定着への影響
  6. カタライゼーション(自国民雇用促進)
  7. 手順

カタールは日本食レストランの市場が小さく、国内にいる日本人料理人もごくわずかです。実際には、本格的な採用のほぼすべてが国外からの採用になります。本記事では、労働省と内務省を通じた手続き、厨房チームの他のスタッフに影響する最低賃金のルール、そしてオファーで守らなければならない労働法の条件を解説します。

1. 市場は小さく、現地の人材も少ない

農林水産省が数えるのは、店舗リスト、業界団体、日系団体、大使館を通じて把握できた店舗のみで、10店単位で丸められています。そのため、ホテル内の店舗や、日本食店として打ち出していないコンセプトレストランは漏れている可能性があります。それでも結論は変わりません。在留邦人が700人程度では、料理長のポジションを現地で埋めることはできません。最初から国外での採用を前提に計画し、候補者をどこから探すかを考えてください。日本だけでなく、ドバイ、シンガポール、欧州ですでに働き、海外生活に慣れている日本人料理人も候補になります。隣接する市場についてはドバイのガイドをご覧ください。

2. 就労ビザ手続きの流れ

カタールで国外から採用する手続きには、2つの省が関わります。

  1. 労働省(MOL):労働者採用承認。会社は同省の電子サービスを通じて採用の承認を申請します。カタールの政府ポータルHukoomiでは「Request to Issue Labour Recruitment Approval」として掲載されています。承認の変更や更新のための関連サービスもあります。
  2. 雇用契約。労働省は雇用契約の認証を電子サービスで行っています。同省によれば、現在は提出後数分で契約が自動的に審査されます。
  3. 内務省(MOI):ビザと居住許可。就労ビザと居住許可は内務省の管轄です。同省のMetrashの居住許可サービスでは、扱う案件として指紋や健康診断に関する問題が挙げられているため、許可の発給前にこの2つの手続きがあると考えてください。

労働省は一時就労ビザのための採用承認も扱っています。これは限られた期間だけ呼び寄せる労働者向けの別サービスです。開店時や季節メニューのためのゲストシェフには向いていますが、常勤の料理長の正式な就労ビザの代わりにはなりません。

公式ポータルにはサービス名が掲載されていますが、執筆時点で、私たちが確認できる手数料や処理期間の一覧は公表されていませんでした。開店日を決める前に、労働省または自社の渉外担当者(government relations officer)に最新の金額を確認してください。

3. 最低賃金と、その影響を受けるスタッフ

カタールは2020年法律第17号で最低賃金を導入しました。2021年3月20日に施行され、3つの要素で構成されています。

要素月額適用される場合
基本給QAR 1,000常に
食事手当QAR 300雇用主が適切な食事を提供しない場合
住居手当QAR 500雇用主が適切な住居を提供しない場合

つまり下限は、食事と住居の両方を提供する場合は月QAR 1,000、住居を提供し食事は提供しない場合はQAR 1,300、どちらも提供しない場合はQAR 1,800です。

日本人の料理長の給与はこれを大きく上回ります。最低賃金が関係するのは厨房の他のスタッフ、つまり他国から採用するキッチンヘルパー、洗い場スタッフ、若手の調理人です。すべての職位について試算し、食事と住居を現物で提供するかどうかを各契約書に明記してください。どの下限が適用されるかがそれで決まるためです。

4. 契約に反映すべき労働法の条件

カタールの労働法(2004年法律第14号)は、スポンサーを受ける料理人にとって重要な条件をいくつか定めています。条文から抜粋します。

この法律は2004年以降改正されているため、最終的な契約書は現行の統合版の条文と照らし合わせて確認してください。特に退職金は、料理人が勤め続けるほど毎年増えていく費用です。初日から複数年の予算に組み込んでください。

5. 転職の自由化と人材定着への影響

2020年8月に最低賃金が発表された際、カタールの労働省は、転職時の異議なし証明書(No-Objection Certificate)の要件の撤廃もあわせて確認しました。現在、労働者は法律に定める手続きに従えば、現在の雇用主の許可なく雇用主を変えられます。

飲食店にとっては両面があります。すでにカタールで働いている料理人を、移籍の交渉なしに採用できます。しかし、費用をかけて呼び寄せた料理人が、近くのホテルグループに移ることもできます。これほど小さな市場では、評判の良い日本人料理人は目立ち、競合も気づきます。

守りになるのは契約による拘束ではなく、残る価値のある待遇です。本当にまともな住居、明確な昇給見直しの時期、年1回の帰国航空券、そして料理人がメニューに権限を持てる厨房です。何が重視されやすいかは、日本人料理人の定着のガイドで解説しています。

6. カタライゼーション(自国民雇用促進)

カタールは、民間部門の職の自国民化に関する2024年法律第12号を制定しました。労働省は同法の発表にあたり、民間の事業体を規模、従業員構成、職種で分類する自国民化計画を策定し、カタール国民とカタール人女性の子どもに対して金銭的インセンティブと研修を提供すると述べました。

公式発表では飲食店に特化した目標は示されておらず、厨房の職位に関する公表された割当も見つかりませんでした。規模を問わずグループ経営をしている場合は、人員数を確定する前に、自社の事業所がこの計画のもとでどう分類されたかを労働省に確認してください。

カタールの要点:国外での採用を前提に計画し、何よりも先に労働省の採用承認を取得し、最低賃金の下限が変わるため食事と住居を各契約書に明記し、採用費用を労働者に負担させず、退職金を1年目から予算に組み込むことです。

お客様の多くがムスリムになる場合は、料理人の職務を定める前に、ハラール対応の和食厨房の人員体制のガイドで扱っている食材と人員の論点に目を通しておくとよいでしょう。

7. 手順

  1. 職務、給与、食事と住居を現物で提供するかどうかを決める。
  2. 労働省に労働者採用承認を申請する。
  3. 湾岸諸国ですでに働いている日本人料理人も含め、国外で候補者を探す。
  4. 実技テストを含めて面接し、候補者が日本から来る場合は日本語話者も同席させる。
  5. 契約書を交付し、労働省の契約認証を完了する。
  6. 健康診断と指紋採取を含め、内務省で就労ビザと居住許可を手配する。
  7. 料理人の生活基盤を整える:住居、銀行口座、書面での昇給見直し時期。

本記事は2026年9月に公的情報源から収集した一般的な情報であり、法律・移民手続きに関する助言ではありません。カタールの手続きや手数料は変更され、労働法も2004年以降改正されています。行動する前に労働省と内務省に確認してください。

出典

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