英国・欧州

ロンドンで寿司職人を雇う:給与水準と採用できる人

2026年のロンドン生活賃金と全国生活賃金、ONS統計によるロンドンのシェフの給与、そして新規のシェフのスポンサーが閉ざされた今、合法的に雇える日本人候補者は誰か。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 法定最低賃金とロンドンの目安
  2. ロンドンのシェフの実際の給与
  3. 寿司カウンターで問題になる差
  4. ロンドンで合法的に雇える人
  5. ロンドンの候補者はどこにいるか
  6. ロンドンで通用する条件提示のつくり方
  7. チェックリスト

ロンドンは、英国国家統計局(ONS)の賃金調査に載っている地域のなかで、シェフの給与がもっとも高い地域です。一方で移民ルールは国内のほかの地域と同じで、2025年7月以降は日本から新たにシェフをスポンサーすることができません。つまりロンドンで寿司職人を雇うことは、ビザの問題ではなく、給与と打ち出し方の問題です。本記事では、ポジションの給与を決めるための数字をまとめます。

1. 法定最低賃金とロンドンの目安

押さえるべき水準は2つあり、義務なのはそのうち1つだけです。

水準金額位置づけ
全国生活賃金(National Living Wage、21歳以上)、2026年4月から時給£12.71法定最低額
全国最低賃金(National Minimum Wage、18〜20歳)、2026年4月から時給£10.85法定最低額
ロンドン生活賃金(London Living Wage)2025/26(2025年10月22日発表)時給£14.80任意
リアル生活賃金(Real Living Wage)ロンドン以外の英国、2025/26時給£13.45任意

ロンドン生活賃金は、Resolution FoundationがLiving Wage Foundationのために算出するもので、任意の認定基準です。支払う義務はありませんが、支払っているロンドンの雇用主は多く、候補者は条件をこの水準と比べます。次の改定額は通常秋に発表されるため、年末近くに条件を提示する場合は、確定前に確認してください。

週45時間のフルタイムの場合、£12.71と£14.80の差は週約£94、年間で£4,900近くになります。ロンドンの厨房の求人の多くはこの範囲に収まりますが、熟練した寿司職人にとっては十分ではありません。

2. ロンドンのシェフの実際の給与

ONSの年次労働時間・賃金調査(Annual Survey of Hours and Earnings、ASHE)は、地域別・4桁職業分類別に給与を集計しています。2025年(速報値)、フルタイム従業員の数値は次のとおりです。

職業、地域年間総支給額の中央値時給の中央値(残業除く)
シェフ(5434)、ロンドン£34,120£15.17
調理人(Cooks、5435)、ロンドン£24,151£13.41
シェフ(5434)、南東部(South East)£30,304£15.10
シェフ(5434)、北西部(North West)£29,126£14.00
シェフ(5434)、英国全地域£30,010該当なし

目を引く点が2つあります。ロンドンのシェフの中央値は、英国全体のシェフの中央値より年約£4,000高いこと。そして、ロンドンのシェフの時給中央値£15.17は、ロンドン生活賃金をわずか37ペンス上回るにすぎないことです。ロンドンの厨房の給与の多くは、この任意の目安のすぐ近くに集中しています。

ASHEは、委託給食からファインダイニングまで、あらゆる厨房のシェフ全体を対象にしています。和食や寿司のシェフは区別されておらず、この表ではONSはロンドンのシェフのパーセンタイル別内訳を公表していません(信頼性が低いとして秘匿されています)。ロンドンの寿司職人の給与を公表している公的な情報源はありません。正確な数字を挙げている人がいれば、それは公的データではなく求人広告や調査によるものです。

3. 寿司カウンターで問題になる差

一本の魚をおろし、店の基準どおりにシャリを合わせ、客の前のカウンターで握れる職人は、ASHEの中央値のシェフより何段も上にいます。中央値がすでに任意の生活賃金に近い都市では、中央値を払うことは市場の最低ラインを払うことと同じです。

参考までに、シェフがまだスポンサー対象だった頃、内務省が定めるSOC 5434の相場給与(going rate)は£33,400(時給£17.13)、Skilled Workerの一般的な基準額は£41,700でした。これらは新たな海外からの採用にはもう適用されませんが、政府がシェフの市場価格をどう見ていたかを知る手がかりになります。本格的な店では、ロンドンの寿司の責任者の給与はそのどちらよりも高く設定されているのが一般的です。

給与は職名ではなく技能で決めてください。ASHEの「シェフ」には、病院の厨房で料理を温め直す人も含まれます。寿司職人の採用で競う相手は、中央値ではなく、ゾーン1・2にあるほかの日本料理店です。

4. ロンドンで合法的に雇える人

2025年7月22日以降、シェフはどちらの不足職種リストにも載っていない中位技能職種となり、海外からの新規のSkilled Workerスポンサーは閉ざされています。雇えるのは、すでに就労資格を持っている人です。

スポンサーされているシェフのビザ更新時にどうなるかも含めた全体像は、2025年以降に英国で日本人シェフを雇う方法で解説しています。

5. ロンドンの候補者はどこにいるか

外務省の統計では、2025年10月1日時点で英国在留の日本人は62,270人です。確認できた公表済みの都市別の表ではロンドン単独の公式な数字が示されていなかったため、本記事では挙げていません。全国の数字からは、候補者層が確かに存在することがわかります。英国は海外の日本人コミュニティとして6番目の規模です。

ロンドンで採用する担当者にとっての実務上のポイントは次のとおりです。

6. ロンドンで通用する条件提示のつくり方

まずは給与です。そのうえで、ロンドンの候補者が重視する点は次のとおりです。

  1. 勤務時間と休日を書面で示す。同じ時給でも、連休2日の週45時間と、中抜けシフトありの週55時間では、まったく別の条件です。
  2. 通勤。遅い終業時間や深夜バスは重要です。交通手当や、遅い営業後のタクシー代を出す店もあります。
  3. 来英直後の住まいの支援。ヒースロー空港に降り立ったYMSの料理人には、最初の1か月の住まいが必要です。短期の部屋や敷金の貸付があれば、大きな障壁がなくなります。
  4. チップとサービス料。2024年10月1日にEmployment (Allocation of Tips) Act 2023(チップ配分法)が施行されて以降、雇用主は法定の行動規範に従い、チップを全額労働者に渡し、公正に分配しなければなりません。自店の方針を条件提示のなかで明確に説明してください。
  5. カウンターでの本当の役割。寿司職人にとっては、客に直接握れる機会が、少しの昇給より価値を持つことがよくあります。

7. チェックリスト

本記事は2026年9月に公的情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民に関する助言ではありません。賃金水準や移民ルールは変更されることがあります。条件を提示する前にリンク先のページを確認してください。

出典

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