市場データ・制度

欧州の日本食レストラン数【国別】採用データ2025

欧州は約1万9,200店で横ばいですが、スポンサー採用が閉ざされた2年でフランスが1,290店減、英国が560店増と中身は大きく動きました。国別表と採用への影響を整理。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

農水省の2025年調査によると、欧州の日本食レストランは約1万9,200店で、2023年の約1万9,400店とほぼ横ばいです。しかしその内側では、今回の調査で最も大きな増減が起きています。フランスは1,290店(28%)減り、ロシアとイタリアも縮小した一方、英国は560店(44%)、オランダは370店、ドイツは290店増えました。注目すべきは英国です。この2年は、日本からの料理人の新規スポンサー採用が事実上閉ざされた期間と重なっており、増加分は英国内にいる人材でまかなわれたことを意味します。

このページは、欧州の複数の市場を比較して出店・拡大・採用を検討する本部の企画担当者やHR、研究者向けです。農水省の欧州国別データと、その変化が採用にどう影響するかを扱います。世界全体の合計と国別トップ10は調査の概要記事にまとめており、本記事では繰り返しません。各国のビザ、給与、候補者層はその国のガイドに詳しく載っています。

目次

  1. 2025年調査における欧州
  2. 農水省のいう「欧州」の範囲
  3. 合計は横ばい、中身は大きく動いた
  4. それぞれの変化が採用に意味すること
  5. 国別データの全体表
  6. 国別の増減をどこまで信頼するか
  7. 採用計画への影響

1. 2025年調査における欧州

農水省によると、欧州の日本食レストランは約1万9,200店で、2023年の約1万9,400店から「横ばい」とされています。世界全体(約18万1,000店)の約11%です。地域の推移は2013年の約6,700店から2023年の1万9,400店まで伸び続けており、欧州の店舗数が増えなかったのは2025年が初めてです。

2. 農水省のいう「欧州」の範囲

農水省の「欧州」は範囲が広く、地域の推移は「欧州(ロシア含む)」と表記されています。2025年の国別表では、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、コーカサス諸国、キルギスやウズベキスタンなどの中央アジア諸国が欧州の欄に入っています。一方、トルコは中東に分類されています(中東・アフリカのデータ記事を参照)。ウクライナについては調査が困難だったため、2021年調査の数字がそのまま記載されています。

3. 合計は横ばい、中身は大きく動いた

農水省の表にある欧州の各国を合計すると、増減はわずか−220店です。しかしその内側では、2年で店舗の4分の1以上を増やした国や失った国があります。

減少が大きかった国増減増加が大きかった国増減
フランス−1,290(−28%)英国+560(+44%)
ロシア−670(−21%)オランダ+370(+31%)
イタリア−300(−12%)ドイツ+290(+24%)
スウェーデン−220(−42%)スイス、スペイン各+110

フランス、ロシア、イタリア、スウェーデンの減少は合計2,480店。英国、オランダ、ドイツの3か国だけで1,220店増えています。欧州の日本食レストラン市場の重心は、フランスとイタリアから、英国、オランダ、ドイツへと移りつつあります。フランスは3,390店で今も地域最大の市場ですが、英国との差は2023年のほぼ4倍から2025年には2倍未満に縮まりました。

4. それぞれの変化が採用に意味すること

市場2025年(増減)ここだけの事情ガイド
英国1,820(+560)料理人(SOC 5434)の新規スポンサー採用は2025年7月22日以降事実上閉ざされており、この増加は現地人材かユース・モビリティ・スキームでまかなわれた2025年以降の英国採用
オランダ1,550(+370)急速に伸びており、専門料理人向けのルートも開いているオランダのガイド
ドイツ1,510(+290)専門料理人向けの制度あり(BeschV第11条第2項)。1事業所あたり2人までの上限ドイツのガイド
フランス3,390(−1,290)減少後も地域最大の市場。日本から採用する前に現地で求人を出す価値があるフランスのガイド

ユース・モビリティ・スキームの運用の詳細はYMSの採用ガイドをご覧ください。

5. 国別データの全体表

農水省は10店舗以上の国・地域のみを掲載し、一の位を四捨五入しています。ここでは2025年時点で50店以上の国・地域に絞って掲載します。それ未満では、四捨五入によって増減率の信頼性が下がるためです。

国・地域2023年2025年増減
フランス4,6803,390−1,290
ロシア3,1902,520−670
イタリア2,4602,160−300
英国1,2601,820+560
オランダ1,1801,550+370
ドイツ1,2201,510+290
ポーランド870890+20
スペイン700810+110
スイス270380+110
チェコ300330+30
キルギス50320+270
スウェーデン530310−220
デンマーク270290+20
ベラルーシ50230+180
ノルウェー300220−80
ポルトガル170220+50
フィンランド210200−10
ルーマニア110180+70
ベルギー150170+20
ウクライナ(2021年の数字を再掲)1401400
リトアニア80140+60
ルクセンブルク1401400
エストニア100130+30
アイルランド90120+30
ラトビア90110+20
キプロス80100+20

10〜90店規模のさらに15の国・地域(オーストリア、ブルガリア、ギリシャ、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、アルメニア、モルドバ、ジョージア、セルビア、アイスランド、アゼルバイジャン、アルバニア、ウズベキスタン、スロベニア、加えて新たに掲載されたタジキスタン)を合わせると、2025年時点で約640店です。モンテネグロは2023年に10店で掲載されていましたが、2025年には載っておらず、農水省の掲載基準を下回ったか報告がなかったことを意味します。

6. 国別の増減をどこまで信頼するか

農水省が要因を示しているのは地域単位だけで、欧州については「横ばい」とする以上の説明はありません。集計は現地の情報源(WEBサイトや電話帳、ガイドブック、日本食レストラン協会、現地の日本人社会、在外公館)に依存しているため、情報源が変われば一つの国の数字が大きく動くことがあります。また国別の数字は2023年と2025年の2時点しかなく、農水省はそれ以前の国別データを公表していません。特に100店未満の市場では、1回の比較を傾向と見なさず、データ1点として扱ってください。

7. 採用計画への影響

農水省のこの調査は2年ごとに公表され、2025年版は2025年11月28日発行のため、次回は2027年11月ごろと見込まれます。英国のビザ制度と給与しきい値は少なくとも年1回見直されるため、2025年7月22日の基準日が変わっていないか英国のガイドで確認してください。本記事の次回確認は2027年11月、リンク先の国別ガイドで制度が変わればそれより前に更新します。

よくある質問

2025年時点で欧州の日本食レストランは何店ありますか。

農水省の2025年調査によると約1万9,200店で、2023年の約1万9,400店とほぼ変わりません。合計は横ばいでも中身は大きく動いており、フランスは1,290店(28%)減、英国は560店(44%)増です。

料理人のスポンサー採用が閉ざされたのに、なぜ英国は店舗を増やせたのですか。

農水省のデータだけでは完全には説明できませんが、時期が重なっていることから、増加分は日本からの新規スポンサー採用によらず、英国内にいる人材かユース・モビリティ・スキームでまかなわれたと考えられます。詳しくは英国の採用ガイドをご覧ください。

ロシアは農水省の「欧州」に含まれますか。

含まれます。農水省の地域推移は「欧州(ロシア含む)」と表記され、国別表でもベラルーシ、ウクライナ、複数の中央アジア諸国が欧州に分類されています。一方トルコは中東に分類されています。

今、欧州で日本から直接料理人をスポンサーしやすいのはどこですか。

ドイツとオランダは、2023年から2025年にかけて4分の1以上店舗を増やしつつ、使えるルートも残っています。英国は2025年7月22日以降、新規の料理人スポンサー採用が事実上できません。

フランスの28%減は市場の衰退と見るべきですか。

慎重に見てください。国別の数字は2023年と2025年の2時点しかなく、1回の比較は傾向とまでは言えません。フランスは今も欧州最大の日本食レストラン市場であり、この減少は現地で経験者を見つけやすくなっている可能性を示すもので、日本から採用する前に試す価値があります。

本記事は一般的な情報であり、投資・法律・移民に関する助言ではありません。店舗数は農林水産省が公表した丸めた数字をそのまま引用しています。合計とグループ分けは、それらの数字をもとに当社が計算したものです。

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