北米

ロサンゼルス出店:日本から誰をいつ送るか

在留邦人が世界最多のロサンゼルスに出店するときの人の計画。送る人数の3つの型、E-2とL-1の使い分け、日米社会保障協定の6か月ルールを日付で管理する方法、出向者にかかる州のルール、開業日からの逆算スケジュールを整理しました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

ロサンゼルスは在留邦人が世界最多の都市なので、日本から送る人を料理長と寿司カウンターの1〜2人に絞り、店長や厨房の二番手以下は現地で採る計画が立てやすい市場です。日本で新たに採用して送るなら、日米社会保障協定の免除のため渡米の6か月以上前に入社させます。開業12か月前に人選と採用、6〜7か月前にビザ申請と適用証明書の申請、2〜3か月前に渡米、4か月前から現地採用という順番です。

このページは、日本の外食企業がロサンゼルスに出店する場合の人の計画(誰を送るか、E-2とL-1の使い分け、社会保険と税、現地採用との組み合わせ、逆算スケジュール)を扱います。すでに現地で営業している店の採用実務(給与相場、市ごとの最低賃金、求人広告、フードハンドラーカード)はロサンゼルスの寿司職人の給料と採用ルールにまとめています。E-2とL-1の条件を一覧で比べるには米国の飲食店向けビザの比較、出資構成やフランチャイズで送れる人がどう変わるかはニューヨーク出店:誰をいつ送るかをご覧ください。

目次

  1. 送る人を減らせる市場:3つの組み合わせ
  2. 誰を送るか:役割ごとの判断
  3. E-2とL-1の使い分け
  4. 社会保険と税
  5. 現地採用との組み合わせ
  6. 開業日からの逆算スケジュール
  7. 出向者1人と現地採用1人の初年度コスト
  8. よくある質問

1. 送る人を減らせる市場:3つの組み合わせ

ロサンゼルス都市圏の在留邦人は63,972人(外務省、2025年10月1日)で、日本国外の都市で最多です。日本語で指示が通る調理・ホールのスタッフを現地で探せる可能性は、米国のどの都市よりも高いといえます。日本から送る人数は、次の3つの型から選ぶのが現実的です。

型日本から送る人現地で採る人向いている店
A 最小料理長1人店長、寿司の二番手、厨房、ホールラーメン、居酒屋、定食など、レシピと手順で味を再現できる業態
B 標準料理長+寿司カウンターの責任者店長、厨房、ホール寿司・割烹など、カウンターの技術が店の価値を決める業態
C 本部主導料理長+カウンター+店長厨房、ホール1号店で本部の運営方式をそのまま持ち込みたい場合

Aで始めて、2号店以降は現地で育てた二番手を料理長に上げていく形が、ビザの手間と人件費の両面で負担が軽くなります。

2. 誰を送るか:役割ごとの判断

3. E-2とL-1の使い分け

次の3つの問いで決まります。

  1. 日本の国民が米国法人の50%以上を持っているか。いいえならE-2は使えず、L-1だけです(日本の会社と親子・関連会社の関係があることが前提)。
  2. 送る人はグループで継続1年以上フルタイムで働いているか(申請前3年のうち)。いいえならL-1は使えず、E-2だけです。日本で新たに採用した職人はここに当たります。
  3. 物件の契約は済んでいるか。新規事業所のL-1は物件の確保が申請の前提で、初回の承認は1年です。E-2も投資の実行が必要なので、どちらも物件契約の後になります。

両方使える場合、日本国籍の料理長ならE-2が一般的です。日本の米国大使館・領事館で企業登録と個人の審査を同時に受け、日本国籍者のビザは最長60か月です。L-1は米国移民局への申請(Form I-129)を経るため、政府手数料が高くなります(ニューヨーク出店のページに手数料の表があります)。E-2の書類はE-2ビザで和食店の料理人を呼ぶで解説しています。

4. 社会保険と税

詳しくは社会保障協定と料理人と海外勤務者の税金をご覧ください。

5. 現地採用との組み合わせ

2026年9月に見た日本語・英語の求人は、4つの地域に集まっていました。リトル東京・ダウンタウン(居酒屋、ラーメン、懐石)、ソーテルからビバリーヒルズ(寿司、おまかせ)、トーランス・ガーデナ(日系スーパー、食品会社、ラーメン)、オレンジ郡(フードコート、寿司バー)です。料理人やヘルパーの求人の多くは日本語の掲示板に出ていました。

市ごとの最低賃金の一覧、求人文例、職種別の賃金はロサンゼルスの寿司職人の給料と採用ルールにあります。出向と現地採用の比較は海外赴任と現地採用の違いをご覧ください。

6. 開業日からの逆算スケジュール

ビザの審査期間は時期と案件で変わるため、月数は順番の目安です。実際の期間は米国の移民弁護士に確認してください。

開業の何か月前日本側ロサンゼルス側
15〜12か月前型A・B・Cを決め、送る人を選ぶ。新規採用者はここで入社・社会保険加入(遅くとも9か月前)出資比率を確定し、米国法人を設立。移民弁護士を選任
10〜8か月前送る人に国内店で研修。L-1候補の勤続1年の到達日を確認物件探し。候補地の市の最低賃金で人件費を試算し、物件と内装を契約
7〜6か月前E-2の書類提出、またはL-1の申請。適用証明書の申請事業計画と投資の証拠をそろえる
5〜4か月前査証の面接・発給。年末調整と在留届の準備店長・二番手の現地採用を開始(日本語掲示板と英語サイトの両方)
3〜2か月前料理長(型B・Cはカウンター・店長も)が渡米住居、社会保障番号の申請、食品安全の責任者資格。厨房・ホールの求人
1か月前本部の開業支援は打合せ・確認に限る現地スタッフの研修、有給のトライアル、フードハンドラーカード
開業月が1月をまたぐ場合—1月1日の州最低賃金と適用除外の基準額の改定に合わせて給与を見直す

今週やること:型A・B・Cのどれで行くかを決め、送る人の入社日から「6か月」と「継続1年」を満たす日付を書き出す。候補地の市の最低賃金で、現地採用の人件費を試算する。

日本で採用してロサンゼルスに送る人への内定通知の文例です。

【ロサンゼルス店 料理長候補としての採用内定のお知らせ】
○○様
このたびは当社への入社をご承諾いただきありがとうございます。入社日は[年月日]です。入社後は[店舗名]で約[6]か月以上勤務していただき、当社の料理と手順を習得していただいたうえで、[年月]にロサンゼルス店の料理長として赴任していただく予定です。日本での勤務期間は、日米の社会保障協定により日本の年金・健康保険を継続するための条件でもあります。ビザ(E-2)は会社が申請し、費用は会社が負担します。赴任後の給与は米国法人から現地の基準で支払い、住居、渡航費、医療保険は会社で手配します。

Offer: Head chef candidate for our Los Angeles restaurant
Dear [name], thank you for accepting our offer. You will join us on [date] and work at [restaurant] in Japan for at least [six] months to learn our food and methods, then move to Los Angeles as head chef in [month, year]. The time in Japan is also required to keep your Japanese pension and health insurance under the Japan and US social security agreement. The company will apply and pay for your E-2 visa. In Los Angeles you will be paid by the US company at US rates, and we will arrange housing, travel and medical insurance.

7. 出向者1人と現地採用1人の初年度コスト

項目日本からの出向者(E-2、適用証明書あり)現地採用の料理長
年俸$80,000$80,000
査証申請料(E-2)$315—
雇用主負担の社会保障税・メディケア税(7.65%)$0(協定で免除)$6,120
連邦失業税(最初の$7,000、カリフォルニア州の控除削減を含む見込み)最大$413最大$413
州失業保険(新規事業主3.4%)と雇用訓練税(0.1%)$245$245
合計(確認できた分)$80,973$86,778

出向者の欄には、日本で続く社会保険料、渡航費、住居、医療保険、弁護士費用が入っていません。これらを足すと多くの場合は現地採用より高くなるので、差額の大きさは自社の条件で試算してください。$250のビザ・インテグリティ・フィーを徴収する在外公館があると2026年5月に報じられていますが、東京での徴収は確認できませんでした。予算の組み方は海外出店の人件費予算をご覧ください。

期限のある数字:カリフォルニア州の最低賃金と適用除外の基準額(次回2027年1月1日)、市の最低賃金(多くは7月1日)、連邦失業税の控除削減(2026年11月に確定)、州の給与税率(毎年1月)、査証申請料、求人の給与(2026年9月27日時点)。いずれも2026年9月27日に再確認しました。

よくある質問

ロサンゼルス出店では日本から何人送ればよいですか。

現地で日本語の通じるスタッフを採りやすいため、料理長1人か、料理長と寿司カウンターの責任者の2人で始める例が現実的です。店長は英語と日本語で対応できる人を現地で採る選択肢があります。

6か月ルールを満たさずに送るとどうなりますか。

日米社会保障協定の免除を受けられず、米国の社会保障税・メディケア税の対象になる可能性があります。日本で新規採用する場合は、渡米の6か月以上前に入社させてください。

E-2とL-1のどちらを選べばよいですか。

日本側が50%以上を持ち、送る人が日本国籍ならE-2が一般的です。持分が50%未満ならL-1ですが、グループで継続1年以上働いた人に限られます。

出向者の給与にもカリフォルニア州のルールは適用されますか。

米国法人で働く以上適用されます。年俸制で残業代の対象外にするには2026年は$70,304、2027年からは$72,384以上が必要で、1日8時間を超えた分にも残業代がかかります。

店の場所によって人件費は変わりますか。

変わります。最低賃金はロサンゼルス市が$18.42、トーランスやガーデナは州の$16.90で、時給制のスタッフが10人いれば年間の差は大きくなります。物件を決める前に試算してください。

本記事は2026年9月27日時点で公的情報源を確認した一般的な情報であり、法務・税務・入管に関する助言ではありません。個別の可否や審査期間は米国の移民弁護士、社会保険は年金事務所、税は税理士にご確認ください。

出典

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