給与・コスト

海外からの料理人採用、予算の立て方と試算例

海外から料理人を採用する際のコストモデル。豪州・シンガポール・カナダ・米国・英国の2026年の政府手数料(確認済み)、3つの試算例、記入式の予算テンプレートを掲載します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 6つの費用区分
  2. ビザ別の政府手数料(確認済み)
  3. 試算例:オーストラリア、サブクラス482
  4. 試算例:シンガポール、S PassとEmployment Pass
  5. 試算例:米国、E-2とO-1
  6. 時間もコストになる
  7. 予算テンプレート

海外から料理人を採用するコストは、たいてい同じ形で見積もりが甘くなります。給与はきちんと予算化されているのに、それ以外はすべて「ビザ」という1行にまとめられてしまうのです。本ガイドでは費用を区分ごとに分解し、よく使われるいくつかのビザについて公的な情報源で確認した政府手数料(2026年9月時点)を示したうえで、3つの試算例を紹介します。アドバイザー報酬のように確認できなかった金額はあえて載せず、どこで確認すればよいかを示しています。

1. 6つの費用区分

区分含まれるもの金額の確認先
1. 給与法律とビザの下限以上の基本給と、現実的な残業代ビザのルール、アワードや最低賃金、現地の相場
2. 雇用主の付随コスト義務的な拠出金と給与税税務当局、給与計算の委託先
3. 政府手数料と課徴金スポンサー登録、ノミネーション、請願、ビザ申請料、月額・年額の課徴金下記第2章と各国の公式手数料ページ
4. 専門家報酬移民アドバイザーや弁護士、翻訳、技能評価書面の見積もり(公的な目安はない)
5. 渡航・移住航空券、一時滞在先、生活立ち上げ費用料理人の渡航・移住支援を参照
6. リスクと欠員採用までの間ポジションが空くことのコスト、早期に雇用が終わった場合の帰国費用自店の売上データ、ビザ上の義務

2. ビザ別の政府手数料(確認済み)

ビザ手数料・課徴金金額
オーストラリア、Skills in Demandビザ(サブクラス482)スタンダード・ビジネス・スポンサー申請A$420
ノミネーションA$330
ビザ申請料(主申請者、2026年7月1日から)A$4,015
Skilling Australians Fund(SAF)課徴金ノミネーション期間1年につきA$1,200(売上A$1,000万未満)、またはA$1,800(A$1,000万以上)
シンガポール、S Pass雇用税(levy)月S$650(2025年9月1日から)
カナダ、LMIA審査手数料1ポジションにつきC$1,000
米国、O-1Form I-129(Oビザ請願)1,055ドル(フルタイム換算25人以下の雇用主と非営利団体は530ドル)
Asylum Program Fee600ドル(小規模雇用主は300ドル、非営利団体はなし)
プレミアム・プロセッシング(任意)2,965ドル(2026年3月1日から)
米国、E-2非移民ビザ申請料315ドル。日本国籍者は相互主義に基づく発給手数料なし
英国、Skilled Workerビザスポンサーライセンス小規模£611/大規模£1,682
スポンサーシップ証明書(CoS)£525
移民技能課徴金(ISC)12か月ごとに小規模£480/大規模£1,320
ビザ申請料(3年以下)£819。加えて移民保健サーチャージ年£1,035

英国の金額は参考として掲載しているにすぎません。料理人(SOC 5434)は移民給与リストにも一時的不足職種リストにも載っていないため、海外からの新規スポンサーは事実上できない状況です。英国での日本人料理人の採用をご覧ください。カナダの就労許可の申請料、シンガポールのパス申請料、上記以外の米国の領事手数料は確認していません。予算に組み込む前に公式ページでご確認ください。

3. 試算例:オーストラリア、サブクラス482

前提:小規模事業者(売上A$1,000万未満)、Core Skillsストリーム、ノミネーション期間2年、給与は2026年7月1日からのCore Skills所得基準A$79,423ちょうど。ビザ申請料は雇用主が負担。スーパーアニュエーション(年金)の雇用主拠出率は12%。

項目金額(A$)
給与(1年目)79,423.00
スーパーアニュエーション12%9,530.76
スポンサー申請+ノミネーション750.00
ビザ申請料4,015.00
SAF課徴金(2年分)2,400.00
小計(渡航・移住費、アドバイザー報酬、その他の付随コストを除く)96,118.76

注意点が2つあります。スポンサーはスポンサー申請やノミネーションの費用を労働者から回収してはならないため、給与から差し引く計画は立てないでください。また、所得基準は現物給付を除いた収入で満たす必要があるため、無償の住居を基準額の達成に使うことはできません。給与税(payroll tax)と労災保険は州によって異なるため含めていません。詳しくはオーストラリアでの日本人料理人の採用をご覧ください。

4. 試算例:シンガポール、S PassとEmployment Pass

S Passの最低給与は月S$3,300から年齢に応じてS$4,800までで、2027年1月1日からはS$3,600〜S$5,100になります。Employment Pass(金融業以外)は月S$5,600からで、雇用税はかかりません。最低額で採用できる若い候補者の場合は次のとおりです。

年間コスト(S$)S Pass、月S$3,300(2026年)S Pass、月S$3,600(2027年から)Employment Pass、月S$5,600
給与39,60043,20067,200
雇用税7,8007,8000
合計47,40051,00067,200

S Passの最低給与の場合、雇用税によって給与コストが約20%上乗せされます。S Pass保持者はサービス業の10%のサブクォータにも算入され、Employment PassにはCOMPASSで40ポイントが必要です。シンガポールでの日本人料理人の採用料理人のCOMPASSポイントをご覧ください。

5. 試算例:米国、E-2とO-1

給与はシェフ・料理長の全国中央値である年62,470ドル(米国労働統計局、2025年5月)と仮定します。雇用主の社会保障税は6.2%(2026年は賃金184,500ドルまで)、メディケア税は1.45%です。

項目(米ドル)E-2(不可欠な従業員)O-1、通常の雇用主、プレミアム・プロセッシング利用O-1、小規模雇用主、プレミアム・プロセッシング利用
給与62,470.0062,470.0062,470.00
雇用主の社会保障税・メディケア税(7.65%)4,778.964,778.964,778.96
政府への申請手数料315.004,620.003,795.00
小計67,563.9671,868.9671,043.96

連邦・州の失業保険税、労災保険、弁護士費用、O-1の領事でのビザ申請料は含めていません。E-2は、会社の50%以上を日本国籍者が所有していることが前提です。卓越した能力の証明が必要なO-1では、弁護士費用が政府手数料を上回ることもよくあります。飲食店スタッフのE-2ビザ料理人のO-1ビザをご覧ください。

6. 時間もコストになる

ポジションが空いている期間は、ほかのスタッフの残業、メニューの縮小、受けられない予約という形でコストが生じます。確認できたリードタイムは次のとおりです。

現実的な着任日を計画に入れ、それまでの穴埋めの費用も予算化してください。

7. 予算テンプレート

1人あたり、最初の12か月:
給与(ビザの下限以上)______
想定される残業代 ______
雇用主の拠出金と給与税 ______
政府手数料・課徴金(一時金)______
課徴金(月額・年額)______
アドバイザー・弁護士報酬(書面の見積もり)______
翻訳と書類 ______
航空券と一時滞在先 ______
生活立ち上げ手当 ______
求人広告 ______
予備費:採用がうまくいかなかった場合の帰国航空券と再採用 ______
合計 ______

合計額を、現実的な代替案と比べてください。現地で採用して育てる方法や、すでにワーキングホリデーで現地にいる料理人を採用する方法です(オーストラリアカナダ)。日本語の関連記事として海外和食の採用コストもあります。

本記事は一般的な情報であり、法律上・税務上・入管上の助言ではありません。手数料や基準額は、7月1日や会計年度の初めなどに改定されることがよくあります。予算を確定する前に、すべての金額を公式ページとアドバイザーにご確認ください。

出典

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