アジア・オセアニア

ベトナムで日本人料理人を雇う:政令219の労働許可(2026年)

政令219/2025/ND-CPにより、外国人労働者の2段階承認が1つの統合申請になりました。技術労働者区分、5日前の募集告知、確認できたビザ・在留カード手数料、日程全体、そして公式な賃金水準がない中での給与の決め方を解説します。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

2025年8月7日施行の政令219/2025/ND-CPにより、ベトナムの外国人労働者の許可手続きは、旧来の2段階の承認から、労働需要の説明と5日前の募集告知をあわせた1つの統合申請に変わりました。申請は料理人の就労開始日の10〜60日前に行います。3年以上の経験がある料理人であれば、経験だけで「技術労働者」の要件を満たすのが通例です。ビザと在留カードの政府手数料はそれぞれ約200米ドルで、料理人についての公的な賃金水準はベトナムにはないため、給与は下記の方法で決めてください。

このページは、政令219に基づく全国共通の労働許可制度、すなわち誰が対象になるか、統合申請、手数料、そして日程全体を扱います。ホーチミン市とハノイの給与水準、現地の申請窓口、都市ごとの運用の違いはホーチミン市での採用とハノイでの採用にあり、このページでは繰り返しません。

目次

  1. 数字で見るベトナム
  2. 料理人をどの労働許可区分に当てはめるか
  3. 統合申請:労働需要の説明と募集告知
  4. 給与の決め方:公式な数字はないので、方法を示す
  5. 費用総額と確認できた手数料
  6. 就労開始日から逆算した日程
  7. 在留・保険・更新

1. 数字で見るベトナム

店舗が増えて在留邦人が減っているということは、日本食の需要のうちベトナム人客が占める割合が高まっており、国内にいる日本人料理人の人材プールが小さくなっているということです。日本人料理人の多くは、日本から呼び寄せる必要があるでしょう。

2. 料理人をどの労働許可区分に当てはめるか

外国人労働者は、18歳以上であること、業務に必要な専門・技術的能力と経験があること、健康要件を満たすこと、犯罪歴がないことが求められます。2025年8月7日施行の政令219/2025/ND-CPが、そのうえで外国人が就ける職位を定めています。料理人の場合、現実的なのは次の2つです。

区分政令219上の要件日本人料理人への適合性
技術労働者1年以上の訓練と、職務に合致する2年以上の経験、または職務に合致する業務での3年以上の経験通常はこのルート。3年以上日本の厨房で経験を積んだ料理人は、経験だけで要件を満たします。
専門家大学の学位(または同等)と、関連する2年以上の経験料理人が学位を持っている場合のみ。
管理者支店・事務所の長、または対応する職務で3年以上の経験を持つ部門の長厨房を一つの部門として統括する料理長であれば、組織図によっては該当し得ます。

学位を持たない、現場で修業を積んだ日本人料理人に合うのは技術労働者ルートです。当局が見るのは書類なので、経験は文書で裏付ける必要があります。これまでの勤務先から、在籍期間・役職・職務内容を記した証明書を取り付けてください。1年以上の課程を持つ調理師学校の卒業証明があれば、「1年以上の訓練」の要件を補強します。

労働許可自体が免除される人もいます。たとえば資本金30億ドン以上の有限責任会社の所有者・出資者や、ベトナム国籍者と結婚してベトナムで働く外国人です。免除の種類に応じて、雇用主は就労開始前に届出を行うか、免除の確認を申請する必要があります。

3. 統合申請:労働需要の説明と募集告知

政令219以前は、雇用主はベトナム人労働者向けに15日以上求人を出し、就労開始日の15日以上前に外国人労働者の必要性を説明する報告書を提出し、書面での承認を待ってから労働許可を申請する必要がありました。政令219はこれらを1つの申請書に統合しました。料理人を雇う飲食店が該当する「労働契約の履行」という就労形態では、雇用主は次のことを行う必要があります。

説明は具体的に書いてください。「寿司職人が必要」だけでは弱い説明です。「このポジションでは、魚の熟成や包丁技術を含む江戸前寿司の調理が求められる。5日間募集したが、必要な経験を持つベトナム人応募者はいなかった」といった理由付けこそ、申請書が求めているものです。

4. 給与の決め方:公式な数字はないので、方法を示す

日本人料理人(駐在・現地雇用を問わず)についての公的な賃金水準はベトナムに見当たりませんでした。タイや香港のような、この職種の公的な賃金表はベトナムにはありません。数字を作り出すのではなく、次の方法でオファーを組み立ててください。

  1. 日本での給与を出発点にする。厚生労働省の2025年調査では、日本の飲食物調理従事者のきまって支給する現金給与額は月286,600円です。ベトナムへ移る料理人は、現地の物価と赴任パッケージを合わせて、少なくとも同水準の購買力を期待します。
  2. 周辺国と比較する。近隣市場には公表された数字があります。タイの下限は日本人の場合月5万バーツで、国別の寿司職人の給与のページに公式な数字をすべて掲載しています。ベトナムとタイやシンガポールを比較検討する候補者は、この数字を参照します。
  3. 法定最低賃金は料理人本人ではなく現地スタッフの下限として使う。ベトナムの地域別最低賃金はキッチンのほかのスタッフに適用されます。現在のリージョン1の金額と2027年に向けた改定は、ハノイとホーチミン市のガイドをご覧ください。
  4. 現金だけでなくパッケージ全体で考える。住居、航空券、一時帰国は、呼び寄せるヘッドシェフには標準的な項目です。料理人の赴任パッケージを参照してください。

5. 費用総額と確認できた手数料

政府手数料は給与や赴任コストに比べれば小さな額です。以下はJETROの手数料の整理と、通達25/2021/TT-BTC(通達62/2023/TT-BTCにより改正)に基づくビザ・在留カードの手数料表によるものです。

項目金額
労働許可の手数料通達25/2021(改正後)に基づき各省の人民委員会が定めるため、全国共通の1つの数字は確認できませんでした。申請先の都市の労働当局にご確認ください。
数次ビザ(1〜2年)米ドル145
一時在留カード(2年以内)米ドル145
医療保険、雇用主負担分(保険算定給与の4.5%のうち雇用主が3分の2を負担)料理人の保険算定給与のおよそ3%、継続的に発生
健康診断、無犯罪証明書、翻訳、認証(日本側)各社の見積もり
住居、航空券、一時帰国料理人の赴任パッケージを参照

ベトナムの弁護士や代行業者を利用する場合は、その費用も加えてください。JETROの整理には金額の記載がなく、事務所や省によって幅があります。

6. 就労開始日から逆算した日程

雇用主は、料理人がベトナムで就労を開始する予定日の10日以上前、60日以内に労働許可申請を提出しなければなりません。3月1日に就労開始する料理人を例に、逆算すると次のとおりです。

時期やること
10週間以上前日本で料理人の書類をそろえる:在職証明、調理関連の資格(あれば)、無犯罪証明書、健康診断書、パスポートと写真。翻訳や認証に時間がかかるため、早めに着手する。
65日前までどの区分(技術労働者、専門家、管理者)に当てはまるか確認し、労働需要の説明を作成する。
申請の5日以上前ベトナム人向けの募集告知を出す。
就労開始の60〜10日前労働需要の説明と労働許可を統合した申請書を提出する(3月1日開始なら、おおむね1月初めから2月19日まで)。
許可発給後就労ビザを手配し、入国後に一時在留カードを取得する。
継続的に契約が12か月以上であれば、医療保険への加入手続き。

日本国籍者は45日以内の滞在であればビザなしでベトナムに入国できるため、雇用前の下見には便利ですが、就労には必ず労働許可が必要です。

7. 在留・保険・更新

JETROは2025年12月、ベトナム当局が駐在員の労働許可について、規則に明記されていない制限を示唆していると報告しました。運用は省によって異なり、新たな政令がなくても変わることがあります。都市ごとの詳細があるホーチミン市とハノイの運用はホーチミン市とハノイのガイドをご覧ください。それ以外の省であれば、採用を決める前に、省の労働当局や現地のアドバイザーに現在どのように申請が扱われているかを確認してください。

日本人料理人を軸にベトナム人調理スタッフを育ててください。在留邦人が減るなか、スポンサーする料理長1人と育成した現地チームという形のほうが、外国人料理人を何人も抱えるより長続きします。現地スタッフへの和食トレーニングと、オファーに盛り込むべき内容は雇用契約のチェックリストを参照してください。地域の比較はタイ、フィリピン、インドネシアをご覧ください。

変わる数字:ビザと在留カードの手数料は通達により随時改定されます。労働許可の手数料は省ごとに定められています。技術労働者の経験要件、5日前の告知、10〜60日の申請期間は政令219(2025年8月7日施行)によるもので、新たな政令が出ない限り変わりません。次回確認は2027年3月です。

よくある質問

政令152/2020に代わって何が適用されますか。

2025年8月7日公布・施行の政令219/2025/ND-CPです。政令152/2020/ND-CP(政令70/2023による改正後)の外国人労働者に関する規定に代わり、労働需要の説明と労働許可申請を一つにまとめた統合申請になりました。

日本人料理人がベトナムの労働許可を得るのに学位は必要ですか。

必要ありません。ほとんどの料理人は、職務に合致する3年以上の経験、または1年の訓練と2年の経験で「技術労働者」の要件を満たします。学位が関係するのは、別区分の「専門家」の場合だけです。

労働許可申請はどのくらい前に提出する必要がありますか。

料理人がベトナムで就労を開始する予定日の60日前から10日前までの間で、申請の5日以上前にベトナム人向けの募集告知を出しておく必要があります。

ベトナムでの日本人料理人の公式な給与水準はありますか。

ありません。ベトナムはこの職種の賃金表を公表していません。日本での給与を出発点にし、タイなど公表されている周辺国の下限と比較し、法定最低賃金に頼るのではなく赴任パッケージ全体で価格づけしてください。

労働許可と在留手続きにかかる総費用はいくらですか。

確認できた手数料は大きくありません。数次ビザ(1〜2年)と一時在留カード(2年以内)はそれぞれ約米ドル145で、雇用主側の医療保険は保険算定給与のおよそ3%です。労働許可の手数料自体は省ごとに定められているため、申請先の労働当局にご確認ください。

本記事は、JETROによるベトナム法令の解説と日本政府の統計をもとに2026年9月に確認した一般的な情報であり、法律・移民手続きに関する助言ではありません。ベトナムの運用は省によって異なります。申請前に、省の労働当局またはベトナムの弁護士に要件と現在の手数料を確認してください。

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