採用の進め方

日本人料理人を採用する方法:手順・ビザ・給与・期間

どの国でも使える日本人料理人・寿司職人の採用手順。5つの質問による判断、国別に開いているビザ経路、給与の決め方、1人分の費用の合計、着任日から逆算したスケジュールをまとめました。

最終更新 2026年9月27日 WashokuJob

採用は次の順番で進めます。ポジションと給与の幅を決め、その給与で使える就労ビザの経路が自国にあるかを確かめ、すでに就労資格を持つ現地在住の日本人料理人を探し、並行して日本から募集し、条件はすべて書面で示します。ビザが必要な採用は決定から初出勤までおよそ26週間、カナダはさらに長く、現地採用なら数週間が目安です。英国のように経路が閉じている国では、現地採用か現地スタッフの育成に切り替えます。

どの国で採用する場合にも使える、採用の全体手順と判断の分かれ道をまとめたページです。日本の本社が海外店舗の料理人を採る場合は日本本社が海外店舗の料理人を採る場合もあわせてご覧ください。チャネルの選び方と費用は人材紹介と求人サイトの判断基準と日本の求人チャネルの使い分け、候補者がどこにいるかは日本人料理人の探し方で扱います。

目次

  1. 5つの質問で決める採用の進め方
  2. 国別:経路は開いているか、雇用主が先にすること
  3. 給与の決め方:公的データと設定の手順
  4. ビザが必要な採用1人分の費用の合計
  5. 着任日から逆算したスケジュール
  6. ポジションの決め方と求人票のひな形
  7. オファーの確認項目と着任後30日
  8. ビザの経路が閉じている場合
  9. 今週やること

1. 5つの質問で決める採用の進め方

採用の失敗の多くは順番の誤りから生まれます。候補者を見つけてから、経路が閉じていることや給与の下限が予算を超えていることに気づくのです。求人を出す前に次の5つに答え、現地と日本での募集は並行して進めてください。

質問「はい」の場合「いいえ」の場合
1. 8週間以内に働き始めてもらう必要があるか就労資格を持つ人の現地採用に絞る。下記のどの国のビザ経路もそこまで速くない2へ
2. 料理人をスポンサーできる経路が自国にあるか3へ8章へ
3. その経路の給与下限以上を払えるか4へ現地採用にするか、下限に見合う上位の職務に設計し直す
4.(米国)日本国籍者が50%以上を所有する事業か監督職や不可欠な技能を持つ日本人料理人ならE-2が使える可能性がある際立った実績があればO-1B。EB-3は数年単位
5. 候補者は18〜30歳かワーキングホリデーならスポンサー不要の場合がある(豪州・カナダ・英国)スケジュールに沿ってスポンサーする

2. 国別:経路は開いているか、雇用主が先にすること

料理人が申請できるようになる前に雇用主が終えておくべき手続きと、2026年9月に公式に確認できた所要期間です。「未確認」の部分は着任日を数週間単位で動かしうるので、日付を約束する前に公式ページで確かめてください。

国経路と給与下限雇用主が先にすること確認できた公式の所要期間
オーストラリア482 Core Skills。Chefは対象(限定サービス型の飲食店は除外)。年A$79,423+年金拠出スポンサー登録。ノミネーション前4か月以内に、4週間以上の求人広告を2件広告の4週間。ビザ審査期間は未確認(対話型ツールでのみ公表)
カナダLMIA、NOC 62200。州の基準額以上なら高賃金枠(オンタリオ州 時給C$36.92)4週間の求人広告(低賃金枠は8週間。トロント、モントリオール、バンクーバー、カルガリー、エドモントン、オタワでは10月8日まで受理されない)2026年8月のLMIA平均:高賃金枠90営業日。その後の就労許可は未確認
シンガポールEP(月S$5,600から、年齢で上昇)またはS Pass(S$3,300から)。日本国籍者はWork Permit不可免除に当たらなければMyCareersFutureに14日間掲載EP:オンライン申請から10営業日以内
マレーシアEP、基本給RM5,000からESD登録、MYFutureJobsへの掲載5+10営業日、支援レター3〜10、EP 2〜5
米国料理人専用ビザはない。E-2、O-1B、EB-3E-2:日本資本であることの証明。O-1B:実績資料と同業者の意見書O-1申請はプレミアム処理で15営業日。領事面接の待ち期間は未確認
英国2025年7月22日以降、海外からの料理人の新規採用には事実上閉じている8章へ

各行の詳細と出典は日本人料理人のビザスポンサーにあります。

3. 給与の決め方:公的データと設定の手順

オファー額は次の手順で決めます。

  1. 職務に応じてパーセンタイルを選ぶ。部門担当は中央値、カウンターの寿司職人や小規模店の料理長は75、総料理長やおまかせカウンターの責任者は90。都市別のデータを使います。米国の大都市圏の中央値はマイアミ$57,940からシアトル$80,330まで開きがあります。
  2. ビザの下限のほうが高ければ引き上げる。
  3. 航空券と当初の住居は給与と別の項目で支給する。マレーシアのように基本給だけで判定する国があるためです。
  4. 日本との比較は手取りで示す。末尾の為替レートで換算すると、米国の中央値は日本の平均の約2.6倍です。

国別の数字は国別の寿司職人の給与をご覧ください。

4. ビザが必要な採用1人分の費用の合計

オーストラリアの482ビザで料理人1人を、4年のノミネーション、売上高A$1,000万未満の事業者として、給与下限で採用する例です。金額は2026年7月1日以降のもの。空欄は自社で見積もる項目です。

項目A$備考
給与(1年目)79,423給与下限(CSIT)
年金拠出(12%)9,531
スポンサー申請420
ノミネーション330
SAF課徴金4,800年A$1,200×4年、申請時に一括。本人負担にできない
ビザ申請料4,015雇用主が負担することもできる
確定している項目の合計98,519
採用チャネル 紹介手数料または掲載料
航空券・当初1か月の住居 法的義務ではないが実務上は期待される

ほかの国の場合は海外からの料理人採用の予算をご覧ください。

5. 着任日から逆算したスケジュール

第0週が初出勤です。ビザ審査の8週間は仮置きなので、自社の経路の公表値に置き換えてください。

着任の何週間前やること
26ポジション、給与の幅、経路を確定し、予算を承認
25〜21現地と日本で同時に募集。オーストラリアは求人広告を開始
20〜17動画面接、実技課題、リファレンス
16ビザ取得を条件とするオファーに署名
16〜14スポンサー側の手続き。料理人は犯罪経歴証明書(東京で約2週間)、在職証明書、調理師免許の英文証明を用意
14〜6ビザ審査(仮置き)
6料理人が退職を申し出る。期間の定めのない雇用なら法律上は2週間前(民法627条)だが、慣行では1か月以上前
2航空券、住居、空港の出迎え、最初のシフト

カナダは4週間の広告と約18週間のLMIA審査が加わるため、着任の44週前ごろから始めます。シンガポールは14日間の掲載とEPの最大10営業日で、ビザの区間が約4週間に縮まります。

6. ポジションの決め方と求人票のひな形

「日本人料理人」には4種類の採用があります。料理長(経験15年以上、厨房を任せる)、カウンターの寿司職人(10年以上、接客もする)、部門担当・二番手(5〜10年、ビザの下限に届かないことが多い)、期間限定の技術移転(6〜24か月)。どれかを決めてから、次のひな形を日英両方で送ります。

求人票の骨子 / Job description skeleton
職種 / Position:[料理長/カウンターの寿司職人][head chef / counter sushi chef]
店舗 / Restaurant:[席数・1日の客数・客単価・客層][seats, covers a day, price per head, guests]
上長 / Reports to:[オーナー/総支配人][owner / GM]
業務 / Duties:[献立・仕入れ・仕込み・カウンター・N名の指導][menu, purchasing, prep, counter, training N staff]
経験 / Experience:[和食N年以上、うちカウンターN年][N years, N at the counter]
給与 / Pay:[金額・通貨・総支給・月額または年額][amount, currency, gross, per month or year]
勤務時間・休日 / Hours, days off:[週の労働時間・週休・年次休暇][hours a week, days off, annual leave]
ビザ / Visa:[経路・各費用の負担者][route; who pays each fee]
渡航・住居 / Relocation:[航空券・住居・期間][flight, housing, how long]
着任日 / Start:[日付][date]

7. オファーの確認項目と着任後30日

オファーに入れる項目 / Written offer checklist
1. 総支給額・通貨・支払日・残業 / Gross pay, currency, pay day, overtime
2. ビザ・公的費用の負担者 / Who pays each visa and government fee
3. 往路と復路の航空券の負担者 / Who pays the flight out and home
4. 住居:現物か手当か、金額、期間 / Housing: provided or allowance, amount, how long
5. 労働時間・休日・年次休暇 / Hours, days off, annual leave
6. 試用期間と、6か月以内に解消する場合の扱い(返還の有無) / Probation and ending in the first six months, including any repayment
7. 献立・仕入れ・採用の権限 / Authority over menu, purchasing, hiring
8. ビザ取得を条件とする / The offer depends on the visa

着任後30日(雇用主側)
着任前:住居の準備、出迎えの手配、最初の週のシフト送付。
1週目:銀行口座、携帯電話、納税者番号、現地の登録。仕入れ先を一緒に回る。
2週目:献立の変更点と、オファーで約束した権限の範囲を確認する。
3週目:いちばん困っている食材を一つ特定し、手当てする。
4週目:最初の面談。必要なら日本語を話せる人を同席させる。

その後の定着は日本人料理人の定着をご覧ください。

8. ビザの経路が閉じている場合

9. 今週やること

  1. 4種類のどのポジションを採るのか、どのパーセンタイルで払うのかを決める。
  2. 2章の公式ページで、自国の経路と給与下限を確かめる。
  3. 目標の着任日を5章の表に当てはめ、間に合うかを見る。
  4. スタッフと現地の日本人コミュニティに、就労資格を持つ候補者がいないか尋ねる。
  5. 求人票のひな形を埋め、日本語を話せる人に確認してもらう。

期限のある数字:オーストラリアの給与下限と手数料は毎年7月1日に改定、カナダの賃金基準と受理停止地域は年内に随時改定(現在のリストは10月8日まで)、LMIAの審査期間は毎月更新、米国BLSと厚生労働省の賃金データは毎年春に更新。為替は米連邦準備制度H.10の2026年9月18日の値(1ドル=156.87円)。2026年9月27日確認。

よくある質問

日本から料理人を採用するのにどれくらいかかりますか。

ビザが必要な採用では、着任日から逆算しておよそ26週間を見込みます。カナダは求人広告の期間があり、2026年8月のLMIA平均審査期間が90営業日なので、さらに長くなります。現地の就労資格を持つ人なら数週間で着任できます。

日本人料理人を1人採用する費用はいくらですか。

オーストラリアの482ビザで給与下限で採用する場合、給与、年金拠出、公的費用だけで1年目はA$98,519です。採用チャネルの費用、航空券、住居はこれに上乗せになります。

英国で寿司職人をスポンサーできますか。

海外からの新規採用は、事実上できません。料理人は中技能に分類され、どちらの不足職種リストにも載っていないため、2025年7月22日以降、新規のSkilled Workerのスポンサーは閉じています。英国在住者かYouth Mobility Schemeの人を採用してください。

日本人料理人にはいくら払えばよいですか。

自分の都市の公的な中央値から始め、カウンターや料理長なら75〜90パーセンタイルに上げ、ビザの下限のほうが高ければ下限に合わせます。日本の平均である年収約¥379万との比較を、料理人に手取りで示してください。

人材紹介会社は必要ですか。

多くの場合は不要です。急ぎの上位ポジション1名や、表に出せない後任探しには向いていますが、繰り返しの採用は求人掲載と紹介のほうが1人あたり安くなります。計算方法は人材紹介と求人サイトの判断基準のページにあります。

本記事は一般的な情報であり、法務・入国管理に関する助言ではありません。ビザの制度、基準額、手数料は変わります。数字に頼る前に下記の公式情報を確認するか、専門家にご相談ください。

出典

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