採用の進め方

海外の食品衛生資格:米・英・星・豪・加の比較

米国、英国、シンガポール、オーストラリア、カナダで料理人や管理者に必要な食品衛生の資格・研修を規制当局の情報で確認し、日本から来る料理人の受講計画の立て方を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 概要:誰に何が必要か
  2. 米国:ServSafeとCFPM
  3. 英国:必須なのは資格ではなく研修
  4. シンガポール:全員にFood Safety Course Level 1
  5. オーストラリア:食品安全監督者(FSS)
  6. カナダ:州ごとのルール
  7. 日本から料理人を迎えるときの計画

日本人の料理人は調理師免許を持ち、20年にわたって生の魚を扱ってきたかもしれません。しかし、本記事のために確認した公的なページには、日本の資格についての記載はどこにもありませんでした。料理人も他の人と同じように現地の食品衛生研修や資格が必要になると考え、その時期が開店日や検査に影響しうる前提で計画してください。

本記事では、和食店が多く営業している5か国のルールを比較します。すべての事実は2026年9月に規制当局や法令のページで確認したものです。米国の州別のフードハンドラーカードについては米国のフードハンドラーカード(州別)をご覧ください。

1. 概要:誰に何が必要か

管理者・監督者レベル食品を扱う全員定める主体
米国州や地域のルールで求められる場合は、認定食品保護管理者(CFPM)(カリフォルニア州:各施設に1人以上)一部の州のみフードハンドラーカードFDAフードコードのモデルに基づく州・地域
英国必須の資格はなし業務内容に応じて、食品衛生について監督・指導または研修を受ける必要あり英国に引き継がれた規則(EC)852/2004、食品基準庁のガイダンス
シンガポール一部の許可施設では食品衛生責任者(FSC Level 3)WSQ Food Safety Course Level 1を修了し、SFAに登録シンガポール食品庁(SFA)
オーストラリアカテゴリー1・2の事業者には認定食品安全監督者(FSS)包装されていない高リスク食品を扱う人には食品安全研修食品基準コード基準3.2.2A
カナダ州により異なる(BC州:経営者がFOODSAFEまたは同等の資格を保有)州により異なる(オンタリオ州:営業中は常に認定フードハンドラーが1人以上店内に)各州

2. 米国:ServSafeとCFPM

米国には、飲食店のスタッフ向けの全国共通の食品衛生資格はありません。FDAはフードコード(Food Code)を、州や地域が自らの法令に取り入れるためのモデルとして公表しています。これは推奨であり、連邦法ではありません。FDAは2026年9月に2026年版を公表しており、新しい版をいつ採用するかは州ごとに異なります。

雇用主が「ServSafe」と言うとき、多くは認定食品保護管理者(Certified Food Protection Manager、CFPM)の資格を指しています。ServSafeは全米レストラン協会(National Restaurant Association)が運営しており、その管理者認定はANSI全国認定委員会(ANAB)により、食品保護会議(Conference for Food Protection)の基準に基づいて認定されています。他にも認定を受けた管理者試験があるため、自分の州や郡がどれを認めているかを確認してください。

州のルールの例としてカリフォルニア州を見てみましょう。健康安全法典第113947.1条は、包装されていない、温度管理が必要な食品(potentially hazardous food)を調理・取り扱い・提供する食品施設には、承認・認定された食品安全認定試験に合格したオーナーまたは従業員がいなければならないと定めています。各施設に少なくとも1人の認定者が必要で、その人は別の施設の認定者を兼ねることはできず、営業時間中ずっと店にいる必要はありません。

米国で新規開店する場合は、どの管理者資格が認められるか、開店前の検査までに認定者を置く必要があるかを、地元の保健所(health department)に確認してください。試験は早めに予約しましょう。認定者になるのは、まだ採用活動中の料理人やマネージャーであることが多いからです。

3. 英国:必須なのは資格ではなく研修

英国の法律が求めているのは研修であり、特定の資格ではありません。英国に引き継がれた規則(EC)No 852/2004の附属書II第XII章は、食品事業者に対し、食品を扱う人が業務内容に応じて食品衛生について監督・指導または研修を受けていることを確保するよう求めています。

GOV.UKの食品事業の開業ガイダンスは、食品衛生の資格は必須ではないものの、十分な研修を受けたことを示す必要があるとしています。ガイダンスは資格の取得を勧めており、資格証明書は検査官に研修を示す最も簡単な方法です。同じガイダンスによると、食品事業は営業開始の28日以上前に登録しなければなりません。

日本から来る料理人については、最初の数週間のうちに英語の認定食品衛生講座を短期で受けてもらい、あわせて自店の食品安全管理の仕組みについて社内で説明するのが現実的です。

4. シンガポール:全員にFood Safety Course Level 1

5か国の中で最も細かく定めているのがシンガポールです。シンガポール食品庁(SFA)によると、次のとおりです。

Level 1の講座は、厨房で働き始める前、着任直後の日程に組み込んでください。就労パスについてはシンガポールでの日本人料理人採用をご覧ください。

5. オーストラリア:食品安全監督者(FSS)

食品基準コードの基準3.2.2Aは2023年12月から適用されており、外食、ケータリング、関連する小売事業が対象です。包装されていない食材から、そのまま食べられる温度管理が必要な食品を作る飲食店は、カテゴリー1の事業者にあたります。オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)によると、こうした事業者は次のことを行わなければなりません。

どの機関を認めるかは各州・準州の食品規制当局が決めるため、その当局の認定機関一覧を確認してください。日本人の料理長をFSSにする場合は、着任後すぐに講座を受けてもらう必要があります。オーストラリアでの日本人料理人採用もご覧ください。

6. カナダ:州ごとのルール

食品を扱う施設は州が規制しています。2つの例を挙げます。

その他の州については、地域の公衆衛生当局に問い合わせてください。移民手続きの時期についてはカナダでの日本人料理人採用をご覧ください。

7. 日本から料理人を迎えるときの計画

  1. 店舗所在地の正確なルールを確認する。料理人の到着前に、地元の保健当局の要件も含めて確認します。
  2. 第二言語でも合格できる講座を選ぶ。日本語の教材があるか講座の提供者に確認してください。あるとは限りません。
  3. 受講料と受講時間を負担する。地域によっては法的な義務です(カリフォルニア州では、フードハンドラーカードの研修費用を雇用主が負担し、受講時間を労働時間として扱う必要があります)。
  4. 写しを保管する。すべての資格証明書の写しと更新日を1つのファイルにまとめ、検査に備えます。
  5. 1人に頼らない。料理長だけが資格を持っていると、辞めたときに要件を満たせなくなるおそれがあります。2人目にも資格を取ってもらいましょう。

ユニフォームと個人衛生のルールについては料理人のユニフォームと衛生ルールで別に解説しています。

本記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。食品衛生のルールは地域ごとに定められ運用されており、変更されることがあります。開店や採用の前に、地元の規制当局に要件をご確認ください。

出典

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