採用の進め方

料理人・寿司職人の面接質問集と見極めポイント

経歴、技術、海外適応、条件確認まで、海外の和食店が日本の料理人を面接するときの質問を目的別に整理。聞いてはいけない質問と、オンライン面接の工夫、評価シートの例も載せました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 面接の前に「何を見るか」を3つに絞る
  2. 経歴を確かめる質問
  3. 技術を見る質問(寿司・割烹・専門業態)
  4. 海外で続くかを見る質問
  5. 条件とビザを詰める質問
  6. 聞いてはいけない質問
  7. オンライン面接の工夫
  8. 評価シートの例

海外の和食店の面接は、国内の面接より難しい条件で行われます。候補者は数千キロ先にいて、厨房に立ってもらうことはできず、採用が決まればビザ・渡航・住居の費用が確実にかかります。一度の判断ミスが重い採用です。

この記事では、料理人・寿司職人の面接で使える質問を目的別に並べ、それぞれ「どんな答えなら安心できるか」「どこに注意するか」を添えました。英語で面接する場合の質問集はSushi chef interview questions、遠隔での実技確認はChef skills test for remote hiringにまとめています。

1. 面接の前に「何を見るか」を3つに絞る

料理人の面接で見たいことは山ほどありますが、1時間のオンライン面接で確かめられるのは3つが限界です。ポジションによって優先順位を決めておきます。

ポジション最優先で見ること次に見ること
カウンターの寿司職人仕込みと握りの技術、接客の話し方魚の目利きと現地食材への適応
料理長・総料理長献立設計と原価管理、現地スタッフの指導経験衛生管理の仕組みづくり
部門責任者(焼き場、揚げ場など)担当部門の技術と段取りチームでの働き方
立ち上げ要員(期間限定)開業経験、マニュアル化の力任期終了後の引き継ぎ方

どの職種でも共通して見るべきは「海外で1年以上続くか」です。技術が確かでも、半年で帰国すれば費用はほぼ回収できません。

2. 経歴を確かめる質問

履歴書の店名と年数だけでは、実際に何をしていたかは分かりません。役割と裁量を具体的に聞きます。

3. 技術を見る質問(寿司・割烹・専門業態)

技術は最終的に動画や実技で確認しますが、質問でもかなり絞り込めます。答えが具体的かどうかが判断材料です。

寿司職人

割烹・日本料理

ラーメン、焼き鳥、天ぷらなど専門業態

全職種共通:衛生管理

4. 海外で続くかを見る質問

ここがいちばん大事で、いちばん聞き方が難しいパートです。「海外で頑張れますか」と聞けば全員が「はい」と答えます。過去の行動と具体的な想定を聞いてください。

最後の質問への答えが、店の計画と合っていないこと自体は問題ではありません。合っていないと分かった上で、任期と役割を設計できるかどうかが大事です。定着策は海外で日本人料理人が辞める理由と定着策で詳しく扱っています。

5. 条件とビザを詰める質問

内定の直前に条件の食い違いが見つかると、それまでの選考が無駄になります。早めに次を確かめてください。

退職時期については、日本の民法第627条で、期間の定めのない雇用は解約の申入れから2週間で終了するとされています。ただし就業規則で退職の申し出時期を定めている職場もあり、料理人本人も引き継ぎを済ませて円満に辞めたいと考えるはずです。内定から出国まで最低でも1〜3か月を見込んでスケジュールを組んでください。全体の逆算は海外出店の人材計画にあります。

6. 聞いてはいけない質問

日本の候補者を面接する以上、日本の採用選考の考え方を知っておく必要があります。厚生労働省は「公正な採用選考の基本」で、応募者の適性・能力に関係のない事項で採否を決めないよう求め、配慮すべき事項として次を挙げています。

区分聞かない・把握しない事項
本人に責任のない事項本籍・出生地、家族(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)、住宅状況、生活環境・家庭環境
本来自由であるべき事項宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・社会運動、購読新聞・雑誌・愛読書
採用選考の方法身元調査、適性・能力に関係ない事項を含む応募書類、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断

海外の店の面接では「ご結婚は?」「お子さんは?」「ご両親の介護は大丈夫?」と聞いてしまいがちです。海外赴任を心配しての質問でも、上の区分に当たります。先に挙げた「動かせない予定はありますか」のように、本人が必要と思えば話せる聞き方に置き換えてください。

雇用契約を結ぶ国の差別禁止法も適用されます。年齢、性別、国籍、宗教などに関する規制は国ごとに異なるので、現地の人事・法務の担当者に面接質問のリストを一度見てもらうのが確実です。

7. オンライン面接の工夫

時差を候補者に合わせる

候補者の多くは日本の厨房で働いています。営業が終わった夜や、休みの日の午前中を提案すると、仕事を休ませずに済みます。候補者の都合に合わせる姿勢自体が、店の働き方を伝えるメッセージになります。

カメラの位置を指定する

顔だけでなく、手元が見える位置でもう一度話してもらう時間をとります。包丁を研ぐ、魚をおろす、シャリを切るといった動作は、1〜2分でも見れば多くのことが分かります。

事前に動画を送ってもらう

面接前に「魚を一尾おろして柵取りするまで」「握り10貫」など、課題を決めて動画を送ってもらいます。編集なしの一発撮りを条件にすると比較しやすくなります。農林水産省の調理技能認定のブロンズ実技試験では「魚の三枚おろし」と「かつら剥き」が必須課題とされており、基本技術を見る課題を選ぶ際の目安になります(制度の詳細は調理技能認定制度の解説)。

現地スタッフを同席させる

一緒に働く現地の副料理長やホールの責任者に最後の15分だけ入ってもらうと、候補者は店の雰囲気を、店側は候補者の人当たりを確かめられます。英語やその国の言葉でのやりとりの様子も分かります。

店を見せる

スマートフォンで厨房とカウンター、スタッフの休憩場所、可能なら住居を映します。着任後の「聞いていた話と違う」は、早期離職に直結します。

可能ならトライアル

候補者が日本に一時帰国中の料理長と会える、あるいは本部が日本にあるなら、日本の系列店で半日働いてもらうのが最も確実です。報酬の扱いは日本の労働法に沿って決めてください。

8. 評価シートの例

複数の面接官で評価する場合、項目と基準を揃えておくと判断がぶれません。

項目確認方法評価の目安
基本技術事前動画、手元カメラA:説明なしで安心して任せられる/B:指導すれば任せられる/C:不足
業態への適合技術の質問自店の客単価・業態で即戦力か
段取りと管理1日の流れの質問、原価の質問数字と手順で話せるか
指導力現地スタッフへの教え方の質問具体的な方法があるか
海外適応事前の調べもの、休日の過ごし方現地の生活を具体的に想定しているか
条件の整合希望年収、着任時期、キャリアの出口店の計画と合うか、合わなくても設計できるか

面接の前に、求人票で条件がはっきり伝わっていると、面接は確認の場になり、時間を技術と適性の見極めに使えます。求人票の書き方は日本の料理人に響く求人票の書き方をご覧ください。

本記事は一般的な情報であり、法務・労務・入管に関する助言ではありません。採用選考に関する規制は国によって異なります。実際の選考では、下記の一次情報と現地の法令を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。

出典

料理人の採用でお困りですか

WashokuJobは海外の和食店専門の求人サイトです。掲載中の求人は世界各国の日本食レストランから集まっています。掲載のご相談はお問い合わせフォームからどうぞ。