北米

ナッシュビルで日本人シェフを採用する:賃金・ルール・市場

ナッシュビルのシェフの賃金は全国の中央値を上回り、プリベイリング・ウェイジはニューヨーク以上です。テネシー州の緩やかな賃金ルールと日系企業の集積、職種ごとの賃金設定を解説します。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. ナッシュビルのシェフの賃金は沿岸部並み
  2. プリベイリング・ウェイジはニューヨーク以上
  3. テネシー州のルールの概要
  4. 日系企業の集積
  5. ビザのスポンサーが必要な場合
  6. ナッシュビルでの採用チェックリスト

多くのレストランオーナーは、ナッシュビルはニューヨークやシアトルより安く人を雇える街だと考えています。調理人についてはおおむねその通りです。しかしシェフについては、公的データは逆のことを示しています。ナッシュビル都市圏はシェフ・料理長に全国の中央値を上回る賃金を支払っており、賃金の下限はニューヨークやシアトルよりも高いのです。本ガイドでは、2026年9月時点でナッシュビルの日本食レストランが採用する際にこれが何を意味するのかを、テネシー州の比較的緩やかな賃金ルールや州内の日系企業の集積とあわせて解説します。

1. ナッシュビルのシェフの賃金は沿岸部並み

O*NETで公表されているBLSの2025年5月の賃金データによる、ナッシュビル・デビッドソン・マーフリーズボロ・フランクリン都市圏の数字です。

シェフ・料理長(35-1011)下位10%下位25%中央値上位25%上位10%
ナッシュビル都市圏$55,960$58,220$70,420(時給$33.86)$83,010$105,900
テネシー州(全体)$45,410$57,470$69,810$81,900$98,860
米国全体$37,900$48,440$62,470$78,750$98,560

沿岸部の大都市圏と比べてみましょう。ナッシュビルの下位10%のシェフの年収は55,960ドルで、シアトル(50,810ドル)やニューヨーク(46,530ドル)の下位10%を上回ります。中央値70,420ドルは、ニューヨークの71,780ドルをわずか約1,400ドル下回るだけです。テネシー州全体でも、シェフの賃金は全米で上位10州に入り、州の中央値は69,810ドルです。

一方、レストラン調理人の状況は異なります。

レストラン調理人(35-2014)下位10%中央値上位10%
ナッシュビル都市圏$29,360(時給$14.12)$38,170(時給$18.35)$47,180
米国全体$28,700$37,390$47,900

ナッシュビルの調理人の賃金は全国の中央値に近い水準です。そのため調理人からシェフへの段差が大きく、中央値で比べるとシェフは調理人より時給で約15.50ドル多く稼いでいます。

日本食レストランにとっての実務上の結論は2つです。

2. プリベイリング・ウェイジはニューヨーク以上

PERM(グリーンカードのルート)とH-2Bで使われる労働省のプリベイリング・ウェイジも同じ傾向を示しています。OFLCの2026年7月〜2027年6月のデータ(時給)です。

シェフ・料理長(時給)レベルIレベルIIレベルIIIレベルIV平均(H-2B)
ナッシュビル都市圏$26.69$31.49$36.29$41.09$36.34
ニューヨーク・ニューアーク・ジャージーシティ$23.17$29.54$35.92$42.29$35.98

ナッシュビルのシェフのレベルI・II・IIIと平均は、いずれもニューヨークより高くなっています。ナッシュビルでレベルIと判定されたPERMのシェフ職の下限は時給26.69ドルで、フルタイム換算で年約55,500ドルです。レストラン調理人のH-2B平均は、ナッシュビルでは時給18.77ドルです。

シェフをスポンサーするか、地元の調理人を昇格・育成するかを検討しているなら、まずこれらの数字を確認してください。レベルの決まり方は米国のシェフのプリベイリング・ウェイジで解説しています。

3. テネシー州のルールの概要

法的な規制は緩やかです。

4. 日系企業の集積

ナッシュビルには在ナッシュビル日本国総領事館があり、テネシー州、アーカンソー州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州を管轄しています。総領事館のテネシー州に関するページ(2021年2月付)によると、州内では約200社の日系企業が事業を展開し、直接投資額は約200億ドル、雇用者数は約6万人とされています。日産、ブリヂストン、デンソーなどの名前が挙げられています。

この企業基盤は、日本食をよく知る顧客層と、一定の接待需要を意味します。一方で、地元に日本人調理人がどれだけいるかは分かりません。外務省の在留邦人数上位50都市のリスト(2025年10月1日時点、50位は3,242人)にテネシー州の都市は入っておらず、ナッシュビルの公的な数字も見つかりませんでした。

実際には、州外からの採用を想定しておきましょう。同じ外務省のデータでは、シカゴ(11,111人)とアトランタ(5,613人)が最も近い大規模な日本人コミュニティです。転居支援を用意し、日本国内の候補者には日本人料理人は海外の仕事をどこで探すかを参考にアプローチしてください。

5. ビザのスポンサーが必要な場合

米国には料理人専用のビザはありません。ルートは、E-2(日本国籍者が50%以上を所有するレストランで、日本人スタッフが管理職または専門技能を要する職に就く場合。日本食レストランスタッフのE-2ビザ参照)、際立った実績のあるシェフ向けのO-1B、そして上記のプリベイリング・ウェイジで行うPERMを経るEB-3(EB-3グリーンカードでシェフをスポンサーする参照)です。H-2Bは一時的・季節的な需要にしか向きません。

6. ナッシュビルでの採用チェックリスト

  1. その職がシェフなのか熟練調理人なのかを決め、正直な肩書きを付ける。ここでは両者の賃金帯が大きく離れている。
  2. 料理長の予算は、都市圏の中央値70,420ドルから上で組む。
  3. 熟練調理人には中央値18.35ドルを上回る額から始め、寿司の技能分をはっきり上乗せする。
  4. スポンサーを決める前にプリベイリング・ウェイジを確認する。ナッシュビルはニューヨークを上回る。
  5. シカゴ、アトランタ、日本で、転居支援付きで募集する。
  6. テネシー州のルールは緩やかでも、休憩と給与支払日の運用は書面で定めておく。

本記事は2026年9月に公的な情報源をもとにまとめた一般的な情報であり、法律や移民手続きに関する助言ではありません。賃金データとプリベイリング・ウェイジは毎年更新されます。実際に手続きを進める前に、リンク先の最新情報をご確認ください。

出典

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