採用の進め方

海外経験のある帰国料理人を採用するには

海外で働いて日本に戻った料理人は、海外出店や海外の和食店にとって有力な候補者です。タイプ別の見極め方、再び海外に送るときのビザの注意、給与の考え方、出会う経路を整理しました。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 「帰国料理人」とはどんな人材か
  2. どれくらいいるのか:公的な数字の限界
  3. 採用する側から見た強みと注意点
  4. 海外経験の中身を確かめる
  5. もう一度海外に送るときのビザの注意
  6. 給与の考え方
  7. どこで出会うか

海外で働いた経験のある料理人が日本に戻ってきたとき、その人は海外に出店する外食企業や、海外の和食店にとって貴重な候補者になります。語学、現地スタッフとの仕事の仕方、ビザ手続きの経験を、すでに一度くぐり抜けているからです。

この記事では、海外経験のある帰国料理人を採用するときに、どんな人がいて、何を確かめ、どう処遇するかを整理します。対象は、日本国内で採用して海外店舗に送りたい外食企業と、日本にいる料理人を現地に呼びたい海外の和食店オーナーです。

1. 「帰国料理人」とはどんな人材か

ひとくちに海外経験者といっても、経歴はかなり違います。面接の前に、どのタイプかを把握しておくと話が早くなります。

タイプよくある経歴採用時に確かめたい点
海外店舗の料理長・副料理長経験者日本の会社から出向、または現地採用で数年勤務立場(料理長か、その下か)、現地スタッフの人数、担当した業務の範囲
ワーキングホリデー経験者20代で1〜2年、現地の和食店で勤務実際の担当業務(調理か、ホールか)、勤務期間
海外の日本食レストランの立ち上げ経験者開業準備から関わり、数か月〜数年で帰国開業前後に担当した範囲、仕入れ・衛生対応の経験
海外のホテル・ケータリング経験者ホテル内の日本料理店、宴会部門など大量調理と個店の違いへの適応

同じ「アメリカで5年」でも、料理長として現地スタッフ10人をまとめた人と、日本人料理長の下で寿司場に立っていた人では、任せられる仕事がまったく違います。

2. どれくらいいるのか:公的な数字の限界

正直に書くと、海外で働いて帰国した料理人の数を示す公的な統計はありません。参考になる数字は、次のような周辺のデータに限られます。

母数ははっきりしませんが、国内の料理人の採用自体が厳しいことは数字に出ています。厚生労働省の職業安定業務統計では、2026年7月の飲食物調理従事者の有効求人倍率(パート含む)は2.18倍で、全職業の1.05倍を大きく上回っています。海外経験者はその中でもさらに限られた層で、見つけたら早く動く必要があります。

3. 採用する側から見た強みと注意点

強み

注意点

4. 海外経験の中身を確かめる

海外の職歴は、日本の職歴よりも確認しにくいのが実情です。次の4点を順に確かめると、実態に近づけます。

  1. 在留資格の種類と期間。どのビザで、いつからいつまで働いていたか。ワーキングホリデーか就労ビザかで、担っていた責任の重さの見当がつきます。
  2. 職務の中身。肩書より、「何人のスタッフに、何を教えていたか」「仕入れと原価を管理していたか」を具体的に聞きます。
  3. 書類と照会。海外の勤務先の在職証明や推薦状、元上司への照会が役に立ちます。照会の進め方は日本の料理人のリファレンスチェック、証明書類は卒業・在職証明の英文作成を参照してください。
  4. 実技。最後は包丁と味で判断します。遠隔で行う場合の方法は遠隔での実技試験にまとめています。

5. もう一度海外に送るときのビザの注意

帰国料理人を「海外経験があるから、すぐまた出せる」と考えるのは早計です。ビザは人ではなく、その時の雇用主と仕事に結びついているからです。

一方で、過去の職歴そのものはビザの申請で役に立ちます。オーストラリアの482ビザでは1年以上の職務経験が求められ、米国のO-1では受賞歴やメディア掲載などの実績が審査されます。海外での職歴を証明できる書類を、本人に保管しておいてもらうよう伝えてください。国ごとの制度は料理人のビザスポンサーの基本で比較できます。

6. 給与の考え方

帰国料理人の給与は、2つの基準の間で決めることになります。

日本で採用してから海外に送る場合は、出向中の給与と帰任後の給与を分けて提示すると、話がかみ合います。また、国税庁の質疑応答事例では、1年以上の予定で海外勤務に出た人は出国の時から所得税法上の非居住者として扱われるとされています。手取りに影響するので、赴任期間の見込みも含めて説明してください。給与の組み立て方は海外勤務料理人の給与設計、出向と現地採用の違いは海外赴任と現地採用の比較で扱っています。

7. どこで出会うか

海外経験のある料理人は、帰国後しばらくは次の仕事を急がず、情報を集めていることが多い層です。次の経路を組み合わせてください。

求人票には「海外経験者歓迎」と書くだけでなく、どの国の、どの立場の経験を評価するかを具体的に書くと、合う人から応募が来やすくなります。書き方は海外求人票の書き方を参考にしてください。海外の和食店として日本の料理人に求人を届けたい場合は、WashokuJobの掲載案内もご覧ください。

本記事は一般的な情報であり、法律・税務・移民に関する助言ではありません。数値と制度は2026年9月22日時点で各省庁と各国政府の公表資料から確認したものです。個別の判断は専門家にご相談ください。

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