就労ビザ

香港・タイ・ベトナム・台湾・韓国の料理人就労許可

アジア5か国・地域で日本人料理人を雇う際の就労許可の概要を、各国政府の公式情報とジェトロの制度解説で整理。香港GEP、タイの資本金要件、ベトナムの新政令、台湾の職種制限、韓国の在留資格と、確認できなかった点も明記。

最終更新 2026年9月22日 WashokuJob

目次

  1. 5か国・地域の早見表
  2. 香港:一般就業政策(GEP)
  3. タイ:資本金と現地雇用の要件
  4. ベトナム:2025年8月の新政令
  5. 台湾:就業許可と「専門性・技術性」の壁
  6. 韓国:在留資格の選び方
  7. 今回確認できなかった点

農林水産省の調査では、2025年の海外日本食レストランは約18.1万店、そのうちアジアが約11.2万店を占めます。国別では韓国19,800店、台湾7,100店、タイ5,920店と、アジアには和食店の集積地が並びます。一方で、日本人料理人を雇う際の就労許可の仕組みは国ごとにまったく違い、日本語でまとまった情報は多くありません。

本記事では、香港、タイ、ベトナム、台湾、韓国の5か国・地域について、日本人料理人を雇う際の就労許可の概要を、各国政府の公式情報とジェトロ(日本貿易振興機構)の制度解説をもとに整理します。公式情報で確認できなかった点は、最後の章に明記しています。

1. 5か国・地域の早見表

国・地域主な経路雇用主側の主な要件ワーホリ(日本との協定)
香港一般就業政策(GEP)による就労ビザ現地で容易に採用できない職であること、市場水準の報酬あり(年1,500人)
タイノン・イミグラントBビザ+労働許可外国人1人につき払込資本金200万バーツ、タイ人4人の雇用(BOI奨励企業は別)なし
ベトナム労働許可証(政令219/2025/ND-CP)管理者・専門家・技術者などの区分要件、ベトナム人の採用公募なし
台湾労働部の就業許可就業服務法第46条の職種に該当すること、学歴・経験要件あり(年10,000人)
韓国就業可能な在留資格(E-7、D-8など)在留資格ごとの要件、雇用変動の届出あり(年10,000人)

2. 香港:一般就業政策(GEP)

香港には外国人が就けない民間職種の定めはありません。日本人料理人は、入境事務処の一般就業政策(General Employment Policy、GEP)で就労ビザを申請します(2026年4月16日更新の入境事務処のページで確認)。

雇用主は、雇用契約書、商業登記証明書、財務状況を示す書類、事業内容の資料などを提出します。設立12か月以内の会社は詳細な事業計画も必要です。香港の法定最低賃金は2026年5月1日から時給43.1香港ドルです。強制積立金(MPF)は、許可された滞在が13か月以下の場合や、香港域外の年金制度に加入している場合は加入が免除されます。

3. タイ:資本金と現地雇用の要件

タイでは、2020年6月20日施行の法改正により、27業種が外国人の就業禁止業種に指定されています。理容・美容、タイ式マッサージ、観光ガイド、露店、秘書などが含まれますが、調理は禁止業種の一覧に含まれていません。また「単純労働」と「店員」は、政府間の合意書(MOU)に基づいて入国した外国人に限られます。

一般企業(BOI奨励を受けていない和食店)の要件

手続きの流れ

  1. 在外タイ大使館でノン・イミグラントB(就労)ビザを取得
  2. 入国時に90日の滞在許可
  3. その期間内に労働省雇用局へ労働許可を申請(健康診断書はタイの医師によるもの)
  4. 労働許可取得後、ビザを1年単位で延長し、労働許可も連動して延長

単店舗の和食店にとっては、日本人料理人1人あたり200万バーツの資本金とタイ人4人の雇用が現実的な制約になります。複数の日本人を置く場合は、その人数分の資本金と現地雇用が必要です。

4. ベトナム:2025年8月の新政令

ベトナムでは、2025年8月7日に政令219/2025/ND-CPが制定・即日施行され、外国人労働者に関する従来の政令152/2020/ND-CPの規定は失効しました。就労する外国人は、原則として労働許可証が必要です。

区分主な要件
管理者企業法上の管理者、組織の長・副長
業務執行者支店・事業所の長、または1分野の長として3年以上の経歴
専門家大卒以上(または相当)と、関連する2年以上の勤務経験
技術者1年以上の教育と2年以上の実務経験、または3年以上の実務経験

学位のない料理人の場合、「技術者」区分(関連する3年以上の実務経験など)が検討対象になると考えられます。料理長として店を統括する立場なら「業務執行者」も候補です。

新政令では、外国人労働者の使用需要の説明と労働許可証の申請が1つの手続きに統合されました。労働契約で雇う場合は、申請書類の提出日の少なくとも5日前までにベトナム人労働者の採用募集を告知し、勤務開始予定日の60日以内かつ10日以上前に申請書類を提出します。就労者向けの一時在留許可証(LD1・LD2)の期間は2年以内です。

ジェトロは2025年12月、駐在員の労働許可をめぐり、法令上明確な定めのない制限をベトナム政府が示し、日系企業に影響が出るおそれがあると報じています。運用が流動的なため、申請前に現地の専門家に最新の運用を確認してください。

5. 台湾:就業許可と「専門性・技術性」の壁

台湾で外国人が働くには、有償・無償を問わず原則として労働部の就業許可が必要で、就ける職種は就業服務法第46条で限定されています。料理人に関係しうるのは「専門性または技術性を有する職業」と、外資系事業の「主管」です。

「専門性または技術性を有する職業」の資格・審査基準(2024年8月1日改正版)を確認すると、対象は建築、交通、金融、文化・スポーツ・レジャー、製造業、卸売業など15分野です。資格要件は次のいずれかです。

このうち料理について明示的に書かれているのは、交通事業のうち観光事業の項目で、観光ホテル業・旅館業における「国内で不足している飲食調理技術」の仕事です。独立したレストランの料理人を対象とする明示的な区分は、今回確認した条文には見当たりませんでした。また、給与は中央主管機関が公告する額を下回ってはならないとされています。

日本資本の和食店の場合、外資系事業の主管(B00)として店の責任者を置く道はあります。台湾と日本のワーキングホリデーは年10,000人の枠があり、若手人材の採用ではこちらが現実的な選択肢になります。

6. 韓国:在留資格の選び方

韓国で外国人が働くには、出入国管理法第18条に基づき、就業活動ができる在留資格が必要です。主なものと在留期間の上限は次のとおりです(ジェトロ、2025年11月30日更新)。

在留資格在留期間の上限和食店での使いどころ
特定活動(E-7)3年専門職種での就業(料理人が対象になるかは下記「確認できなかった点」を参照)
企業投資(D-8)5年または2年(区分による)日本側が投資した企業の経営・管理
観光就業(H-1)協定上の期間ワーキングホリデー(日本とは年10,000人、2024年12月から生涯2回)

雇用主には、外国人の解雇、退職、死亡、所在不明、雇用契約の重要な変更を、知った日から15日以内に出入国・外国人官署へ申告する義務があります(出入国管理法第19条)。

7. 今回確認できなかった点

次の点は、2026年9月時点で各国政府の一次資料による確認ができませんでした。採用計画に関わる場合は、各国の当局または専門家に直接確認してください。

アジア以外の主要国については調理師の海外就労ビザ比較、シンガポールとマレーシアはシンガポールEP・S PassマレーシアEP 2026年改定をご覧ください。国別の日本食レストラン数の推移は海外日本食レストランのデータにまとめています。英語版では香港タイベトナムの各記事があります。

本記事は2026年9月22日時点で各国・地域の政府の公開情報、法令、ジェトロの制度解説を確認して作成した一般情報であり、法務・入管に関する助言ではありません。アジア各国の就労制度は運用の変更が多く、個別の事情で判断が変わります。申請前に現地の当局または専門家にご相談ください。

出典

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